【100万回言えばよかった】黄色いダウンジャケットの男は霊視ができる?第1話で浮上した4つの謎

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 井上真央(36)が主演し、佐藤健(33)と松山ケンイチ(37)が助演するTBSの連続ドラマ「100万回 言えばよかった」(金曜22時)が第2話を迎える。冬ドラマで唯一の本格的な考察モノである一方、ラブストーリー、ファンタジーでもあり、コメディ色もある。全体像を読み解くカギの1つは第1話に登場した絵本『100万回生きたねこ』だ。

『100万回生きたねこ』がカギの1つ

 1977年に出版された『100万回――』は200万部以上を売り上げているロングセラー。テーマは命と愛だ。

 主人公のねこは100万回死んだ。そのたび、飼い主の王様や泥棒たちは泣く。でも、ねこは平気だった。どうせ生き返るのだから。飼い主との別れは辛くなかった。

 だが、白いねこと出会い、そばにいるようになってから、ねこは変わる。一緒にいつまでも生きていたいと思うようになる。

 やがて白いねこは老いて死んでしまう。ねこは初めて泣いた。夜も朝も。泣き続けた末に死ぬ。そして、もう2度と生き返らなかった。

 この絵本は主人公で美容師の相馬悠依(井上真央)と、交際相手で洋食店のシェフ・鳥野直木(佐藤健)にとって、思い出の1冊だった。同学年の2人は中学2年生の時、家庭の事情で同じ里親に預けられた。その家にこの絵本があった。

 時は流れ、2年前の32歳の時に2人は再会。交際を始めた。一緒に書店に行った際に、ある絵本を見つけ、買う。それが懐かしい『100万回――』だった。

 お互いにとって相手は「白いねこ」のような存在になる。けれど、直木は口に出しては言えなかった。愛情表現が下手だったのだ。

 それでも直木は2023年1月13日にプロポーズするつもりだった。悠依も期待していた。悠依の34回目の誕生日だった。

 その夜、悠依は合い鍵で直木の部屋に入り、彼を待つ。ところが一向に帰って来ないので、むくれた。

「この気合い入れちゃった感が非常に恥ずかしいです!」(悠依)

 プロポーズされることを想定し、お洒落をしていたのだ。ここまでは真っ直ぐなラブストーリーである。

 以降はファンタジー色が濃厚になる。悠依が憤然としている時、直木は悠依のそばにいたのだ。「ごめん」としきりに謝っていた。

 もっとも、悠依にその姿は見えず、声も聞こえない。直木は死んでおり、霊になっていたからだ。遺体が発見されていないため、悠依は直木の死に気づかなかった。

 直木自身も死んだ自覚がなかった。死亡時の記憶が欠落しているためだ。そのうえ直木には悠依への未練があったから、成仏できず、現世をさまよっていた。

 しかし、直木の姿が見えて、言葉を交わせる人間もいた。神奈川県警先浜署の刑事・魚住譲(松山ケンイチ)である。実家が古刹で代々霊の見える家系だった。

 悠依は直木が自分のことを嫌いになって失踪したのだと思い、憔悴する。一方、直木はそんな悠依を見ていられない。魚住に自分の言葉の代弁を頼んだ。

 だが、悠依はその言葉を直木のものだとは信じない。あり得ない話なのだから。なにより、直木の霊の存在を肯定したら、その死も認めてしまうことになる。

「私、やっぱり振られたんです。いいんです、それで」(悠依)

 真実が伝わらない。悠依は切ないし、直木も辛い。このため、直木は魚住に懇願する。

「悠依は『白いねこ』だって言って」(直木)

 魚住は意味が分からないまま声を上げた。

「し、し、『白いねこ』」

 これを耳にした悠依はやっと魚住が直木と関わり合っていると思い始める。2人で読んだ『100万回――』の「白いねこ」とは、掛け替えのない存在を意味する。2人なら必ず分かる、共通ワードだった。

 さらに直木は魚住に憑依し、悠依の大好きなハンバーグとしょっぱいプリンを作る。塩味のプリンは直木が1年前に間違えて作り、悠依に食べさせてしまった。

 食べた悠依は直木がそばにいることを信じた。味が直木のものだった。寂しさが少し和らいだが、それは直木の死を意味するので、涙が止まらなかった。生き別れ、死に別れ、どちらも悲痛なことに変わりはない。

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