麒麟・川島、山里亮太…「じゃない方」芸人ばかりが朝の顔を席巻するワケ

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売れっ子を目指すなら本も書けて当たり前? 再評価の波に乗った「じゃない方」芸人の出版ブーム

 朝やお昼の顔として欠かせない資質は、好感度やバランス感覚だけではない。ニュースも扱うだけに、知的なイメージもある程度必要とされる。その点、川島さんも山ちゃんも岩井さんも強い。エッセイが好評を博し、「文章力がある」と認められているからだ。川島さんに至っては、イラストまで味があってうまいのに驚く。

 芸人が書籍を出すことで再評価を受ける流れは、ここ10年ではやりとなった。というか、「じゃない方」や存在感が薄いとされていた芸人の成功パターンではないだろうか。

 ピース・又吉さんも、見た目や朴訥な語り口ゆえに「陰キャ」的な扱いをされていたが、芥川賞を受賞して世間の評価は一変した。山ちゃんの盟友であり、やはり「じゃない方」としてくすぶっていたと言われがちなオードリー・若林さんも、エッセイでの筆運びは評価が高い。一発屋と揶揄されていた髭男爵・山田ルイ53世さんも、自著が話題となり各地で講演会等にも呼ばれるようになったという。バカリズムさんや劇団ひとりさんなど、映像脚本にも引っ張りだこの芸人も多い。

 こうして見るとネタ作り担当ばかりだが、テレビでは本人たちのキャラもあって「シュール」という言葉で片付けられてしまうこともしばしばだった。実は又吉さんや若林さんや山ちゃんは運動部出身なのに、根暗な文化系というイメージも根強かったように思う。でもそれを逆手に取り、書くことで芸人としての底力を改めて伝えることができたのだろう。鋭い視点とユーモア、意表を突いた表現、読みやすい文章のリズム。王道キャラではなかろうと、お笑いセンスと言語能力は本物だと世間に示した。彼らにとって本業以外で評価されることは不本意かもしれないが、執筆によってタレントイメージを高めたことは否定できないのではないだろうか。

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