「中井貴一」特別インタビュー 素晴らしい後輩たちとのセッション

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 常に第一線を走り続けてきた俳優の中井貴一は先輩たちから何を学び、それをどう受け継ごうとしているのか。好評を博したドラマ「ザ・トラベルナース」で共演した岡田将生から、評価急上昇中の小池栄子まで――「後輩たちとのセッション」について語りつくす。

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〈2022年10月から12月まで放送され、好評を博したドラマ「ザ・トラベルナース」(テレビ朝日系)。中井は、岡田将生扮するフリーランスの看護師を導く「伝説の看護師」役を演じた。〉

 僕が俳優を生業とした頃はテレビドラマ全盛の時代で、そこで教わったこと、学んだこと、体験したことがたくさんあります。その経験などを、今回岡田くんたち後輩と話でもできればいいなという気持ちでご一緒させていただきました。

 僕は20代の時、後輩や同期ではなく、先輩とばかり毎日遊んでいたのですが、ある時、先輩に「主役は何で一番良い控室を用意してもらい、一番良いギャラをもらえるか分かるか?」と聞かれたことがあります。

 僕が「その役者が有名だとか人気があるから、そういうことですか」と答えたら、先輩は、「そんなふうに思ってたらあんた潰れるよ」と。「主役っていうのは、その座組のトップだけれど、自分に気を使ってもらおうとするのではなく、常に出演者やスタッフみんなの健康状態から食事の状態まで目を配って気を回す。疲れてる人がいたり、食事をちゃんと取っていない人がいた時には、自分から差し入れをしたり、声をかけたりする。そういう気遣いをしなければならないのも主役。それをよく覚えておきなさい。だから、休めるように良い楽屋を与えられるんだ」とね。

人の様子を常に見る

 ――そんな話を聞いて、なるほど、と思ったことがあるのですが、その先輩から教えていただいたことと、今回の看護師の役がすごく合致したんです。人の様子を常に見る。看護師というのは患者さんの治療のサポートやお世話をするだけではなく、人として支え合い、患者さんに寄り添い、患者さんの心を少しでも癒やす。これが生業なのだと。それは撮影現場でも同じです。

 岡田くんとは相棒役としてずっと一緒にいるので、彼のちょっとした変化にも気が付けるように見ていようと思いました。

 今回のドラマでは、座長である岡田くんを支える、絶対に彼を漢(おとこ)にする、というのを僕の中の一つの使命としてこの仕事をお受けしました。そうして皆で力を合わせ、お客様に「夢を与えられる作品」を作っていけたらと思っています。お客様に迎合するわけではなく、今のお客様が何を望んでいるのかを意識して自分を磨いていけたら、と。

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