FA補強ゼロの巨人に“金の卵”が…育成選手に「スピードスター」と「即戦力右腕」

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原監督と首脳陣の“狙い”

 2年連続でリーグ優勝を逃し、昨年は5年ぶりのBクラスに沈んだ巨人。このオフには11人もの選手を育成再契約としたことが話題となった。中には実績十分の選手やプロ入り間もない選手も含まれており、一部ではフリーエージェント(以下FA)で選手を獲得した際に発生する人的補償の対象から外す狙いではないかと言われていたが、結局FAによる補強はなく、現時点(1月11日現在)での支配下登録選手は55人と上限の70人に対して、かなりの空きが出ている状況だ。【西尾典文/野球ライター】

 この時期にここまで支配下登録の選手が少ないのは異例のことだが、これには原辰徳監督と首脳陣の“ある狙い”が隠されていると、在京スポーツ紙記者は語る。

「これまでは優勝を逃すと、FAなどで大型補強を繰り返してきましたが、このオフはソフトバンクがかなりの資金を投下してきたこともあって、目玉となる選手の獲得には動きませんでした。球団の中にも若手の底上げに注力した方が良いのではという意見も多いようです。元々抱えていた育成選手の数は、ソフトバンクに次いで多く、その中からも選手を発掘するためには、支配下の枠を多く空けておいた方が選手のモチベーションアップに繋がると考えたのではないでしょうか。実績がある選手でも怪我があれば、容赦なく育成契約にするということに対して否定的な意見もありますが、逆に実績のない選手からするとチャンスが増えることは間違いないですね」

支配下登録されそうな選手は

 巨人と同じく大量の育成選手を抱え、このオフに近藤健介や有原航平、オスナ、嶺井博希らを獲得して“超大型補強”を敢行したソフトバンクは、現時点の支配下登録選手が67人で、既に枠はほぼ埋まっている。

 力のある選手をどんどん補強し、高い壁を乗り越えなければ、一軍の戦力にはなれないというのがソフトバンクの考え方と見られる一方で、巨人は、それとは逆のやり方で、“あえて枠を空けた状態で競争を促す”という方法をとったと言えそうだ。どちらが成功するかは分からないものの、巨人が今までとは違うアプローチをしようとしていることは確かだろう。

 では、現在育成契約となっている巨人の選手で支配下登録される可能性が高い選手はどんな顔ぶれになるのだろうか。

 まず、優先されるのは、実績がありながら故障が原因で育成契約となった選手で、中川皓太をはじめ、高橋優貴や高木京介、梶谷隆幸、立岡宗一郎の名前が挙がる。また、昨年一軍で53試合に登板した平内龍太も、右肘のクリーニング手術からの回復が順調ならば、早期に支配下復帰することになりそうだ。

 しかし、冒頭で触れたような首脳陣の狙いを考えると、実績のある選手だけでなく育成ドラフトでプロ入りした選手からも何人か引き上げる可能性は高い。

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