KADOKAWA映画が続々とお蔵入りに 数億円の損失も…公開しない理由は?

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 独裁者とはやっかいな存在だが、君臨していた独裁者がつまずいた組織もまた、大黒柱が折れた家のように、ガタガタになってしまうことが多い。製作した映画が次々とお蔵入りになるKADOKAWAのように。

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 もっとも、北野武監督の最後の映画になりそうな戦国絵巻「首」は、2022年9月14日に、KADOKAWAの角川歴彦(つぐひこ)前会長が逮捕される以前から、お蔵入りの危機に瀕していた。

 この映画、西島秀俊を主役に、21年10月には撮影が終わり、編集作業もほぼ済んでいたのに、公開のメドがまったく立っていなかったのである。KADOKAWAの関係者によれば、

「製作費を補うため、KADOKAWAがネットフリックスに動画配信の権利を買ってもらおうとし、話がこじれた。ネトフリが権利を持てば、劇場公開と動画配信のどちらを先に行うかなど、いろんな問題が生じる。そんな大事な話なのに事前に相談がなかったことに、北野監督側がへそを曲げた、と聞いています」

なんとか日の目を見そう?

 前会長の「茶坊主」として知られた映画プロデューサーが、なんら調整をしなかったのが原因だそうだが、ここにきて、

「北野監督からKADOKAWAに連絡があって、やっと契約書がまとまり、公開に向けた作業が再開したようです」(同)

 事実、北野監督の事務所に尋ねると、代理人弁護士を通じて、

「22年11月、KADOKAWAの夏野剛社長と堀内大示文芸・映像事業局長が弊社を訪れ、本作品の現状と今後の予定についてご説明いただきました」

 と答えるのである。すでに14億円の赤字が計上されていたこの映画は、なんとか日の目を見そうな雲行きだが、それで一件落着とはならなかった。現在、東京拘置所に収容され、3回目の保釈請求が退けられた前会長のいまを象徴するかのように、撮り終えた映画が次々とお蔵入りしようとしているという。

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