KADOKAWA映画が続々とお蔵入りに 数億円の損失も…公開しない理由は?

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作品の出来がひどく、公開しない可能性が

 まずは、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を原作にした映画。KADOKAWAに詳しい関係者が言う。

「“なぜいま宮沢賢治なのか”という疑問は社内にありましたが、角川前会長が懇意にしていた芸能事務所肝いりの企画で、前会長べったりのプロデューサーも“会長案件だから”と言い張っていた。キャストは山口百恵の息子の三浦貴大で、監督は舞台演出家の藤田俊太郎。製作費は新人監督としては異例の2億円で、撮影も終わっていたのに、作品の出来がひどく、公開しない可能性が高まり、すでに赤字を計上しています」

 事実、KADOKAWAが発表した「2023年3月期第2四半期決算説明資料」には、「一部実写作品で10億円台半ばの一過性の評価減が発生」とある。これが「首」と「銀河鉄道」だとすればつじつまが合う。

社内で試写すると幹部が…

 次に「月」。辺見庸の同名の小説が原作で、

「監督は若き実力派で、満島ひかりの元夫の石井裕也。宮沢りえ、オダギリジョー、磯村勇斗という豪華キャストで、撮影も終わっていましたが、編集段階のものを社内で試写したところ、過激なテーマなので、幹部たちが配給から手を引くと言い出した。製作費2億円のうち1億8千万円をすでに投じたのに、残り2千万円の支払いはストップさせたのです」(同)

 この映画で描かれたのは、津久井やまゆり園。元職員の植松聖死刑囚が、入居者19人を刺殺した神奈川県相模原市の障害者施設である。

「原作が暗いので、社内には映画化に反対する声が最初からありましたが、角川前会長の鶴の一声で企画が通りました」

 と、また別のKADOKAWA関係者。独裁者逮捕の後遺症は、簡単には癒えそうにない。

週刊新潮 2023年1月5・12日号掲載

ワイド特集「ウサギの耳は地獄耳」より

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