HIMARSでロシア軍の徴集兵400人死亡 背景に「兵士のパーティー情報漏れ」というお粗末

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情報源は「人間」の可能性

 こうした事実を繋ぎ合わせると、ロシア国防省の「兵士が携帯電話を使ったのが原因」という説明は、やはり責任転嫁の可能性が高いという。

「ウクライナ軍が携帯電話の電波をチェックし、『大晦日の晩、多数のロシア兵が特定の地域で携帯電話を使っている』ことをキャッチするのは可能でしょう。とはいえ、その情報を得てから急いでHIMARSを手配し、移動させ、照準を合わせてミサイルを発射するとなると、なかなか簡単なことではありません」(同・軍事ジャーナリスト)

 HIMARSの動きを考えると、ウクライナ軍が事前にパーティーの開催を把握していたと見るのが自然のようだ。

「以前から親ロシア派が掌握している地域だとしても、反ロシア派の住民も残っているでしょう。ロシア軍の動きを察知しようと、ウクライナのスパイも活動しているはずです。そもそもパーティーの開催を事前に明かすような部隊ですから、誰でも情報を掴み、ウクライナ側に通報できたに違いありません」(同・軍事ジャーナリスト)

 情報提供を受けたウクライナ軍はHIMARSを極秘裏に移動。狙い撃ちの準備を着々と進めたと考えられる。

死者に責任転嫁

 状況証拠もある。何しろHIMARSのミサイルが宿舎に着弾したのは、モスクワ時間で午前0時1分だったことも判明している。ロシア軍が新年を迎えた瞬間を狙ったと考えるのが自然だろう。

 パーティー中のロシア軍を壊滅させようと、ウクライナ軍は事前に入念な作戦計画を立てていたのだ。さらに大晦日の当日は、アメリカの軍事衛星やドローンの情報も活用した可能性があるという。

「最後の補完的な情報として、携帯電話の発信状況、位置情報などを参考にしたかもしれません。しかし、メインの情報ではなかったでしょう。いずれにしても、ウクライナ軍は新年早々、劇的な戦果を挙げました。ウクライナ軍の士気は高揚するでしょうし、ロシア軍は文字通りの赤っ恥を世界に晒しました」(同・軍事ジャーナリスト)

 ロシア国防省が異例の発表を行ったのも、あまりに軍の実態がお粗末だということと関係があるという。

「ロシア国内でも、軍を疑問視する声が沸騰しました。その全てが正論です。ロシア軍が沈黙を続けても、世論は沈静化しないと考えたのでしょう。自分たちにとって都合のいい事実を小出しに発表することで、現場の徴集兵に責任転嫁を図ったのだと考えられます。まさに『死人に口なし』です」(同・軍事ジャーナリスト)

註:ロシア軍年越しパーティ中に攻撃され、兵士400人が戦死か(ミリレポ:1月3日)

デイリー新潮編集部

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