光る「有田哲平」という個性 真面目な顔でバカバカしい…笑いの原点は“プロレス”にあり

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 くりぃむしちゅーの有田哲平は、数々のレギュラー番組を持ち、長年にわたってテレビで活躍している売れっ子芸人だ。ただ、そのキャラクターはどこか飄々としていて、つかみどころがないようなイメージもある。コンビで出ているときには、相方の上田晋也が進行を担当して力強く場を仕切っていることが多く、有田はその陰に隠れて要所要所でボケを発するだけであるため、どちらかと言うと地味な印象すらあるかもしれない。

 しかし、最近では、有田が自分のやりたい笑いを突き詰めているような番組も深夜枠を中心に増えてきていて、徐々に芸人としての個性が評価されるようになってきている。

 有田が理想とする笑いの形が最も分かりやすく表現されている番組が「全力!脱力タイムズ」(フジテレビ)だ。本物のニュース番組のようなセットの中で、本物の文化人や専門家がバカバカしいニュースに真剣な口調でコメントをしていく。司会の有田は真面目な表情を崩さず、冷静にその話を聞いていく。何も聞かされずにゲストとして招かれた芸人だけが、番組全体からかもし出されるふざけたムードに違和感を持ち、ひとつひとつのVTRにツッコミをいれていく。

 この種の「真面目な顔でバカバカしいことをする」というのが、有田の好きな笑いの形である。これまでにも、テレビ、ラジオ、その他のメディアで、こういう種類の笑いが詰まった企画をやり続けてきた。

ツッコミ不在の弱点

 残念ながら、有田が理想とするこの手の笑いには「わかりづらい」という致命的な欠点がある。ツッコミが不在の状態で、真面目な顔でずっとふざけ続けていると、どこまで本気なのかが理解しづらいため、人によっては笑いどころが見つけられなかったり、笑えなくなったりする危険性がある。

 有田がテレビでこの種の笑いを追求できるのは、そこにツッコミ役がいるからだ。「全力!脱力タイムズ」では、何もかもふざけている空間の中で、1人だけまともな芸人ゲストがいて、その人がツッコミ役を一手に引き受けている。

 くりぃむしちゅーというコンビで出ている番組では、もちろん相方の上田がツッコミを担当している。上田は有田のどんな細かいボケも見逃さず、丁寧に説明を加えながらつっこんでいく。有田のボケの謎めいた部分が解き明かされ、そこに笑いが生まれる。

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