ロシア前大統領の呪いか?今年は欧州が未曾有の危機に陥るという不気味過ぎる予測

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右傾化する欧州諸国

 多くの欧州諸国の政治は既に右傾化している。

 イタリアではムッソリーニの流れをくむ党が政権を握り、ポーランドとハンガリーでは右派の政権が一段と独裁色を強めている。

 エネルギー価格の高騰で経済が悪化すれば、極右勢力はさらに勢いづくことだろう。

 中でも懸念されるのは英国の政情だ。歴史的な高インフレに直面する中、年末から33年ぶりの大規模ストが起きており、発足したばかりのスナク政権の足元は大きく揺らいでいる。国民の暮らしぶりを好転させない限り、極右勢力が台頭する可能性は排除できない状況となりつつある。

 昨年12月にクーデター騒ぎがあったドイツの政情もけっして楽観視できない。

「インフレがピークを打ち、景気の腰折れは回避できる」との見方が生じているが、悩みの種はウクライナからの避難民だ。

 ウクライナからドイツへの避難民は100万人を超えており、2015~16年のシリア難民の数を既に上回っている。旧東独地域ではウクライナ難民への反発が広がっており、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持率は高まるばかりだ。

 内向き化するドイツに対して盟友であるフランスは反発を強め、独仏関係は前例のない緊張関係にあるとの懸念が生じている。

 メドベージェフ氏の呪いのごとく欧州が未曾有の危機に陥ると断言するつもりはないが、対ロシア制裁の自縛に苦しむ欧州政治の今年の動向は要警戒だ。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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