正月三が日“プライム帯”で7連覇中…「芸能人格付けチェック!」が怪物になった理由

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(4)GACKTというスターの存在

 バラエティには番組の核になるスターが求められる。例えば「Qさま!!」(テレ朝)で難問を次々と解く宮崎美子(64)や「イッテQ」(日テレ)でとんでもない珍獣にもひるまないイモトアヤコ(36)である。

「格付けチェック」のスターはGACKTにほかならない。

 今年元日など2年連続で休んでいるものの、出演した特番ではミスがなく、2009年から65問連続正解中。こういう圧倒的存在がいたほうが番組は盛り上がる。

 あまりに出来すぎているから、やらせ疑惑まである。いつの世も突出した存在には疑惑が浮上する。特定の解答者の正答率がケタ違いに高かったTBS「クイズダービー」(1976~92年)もそうだった。

 GACKTのやらせの真偽のほどは分からない。ただし、リスクの大きさを考えると、「格付けチェック」の制作陣がそんな暴挙を振るうとは思えない。

 やらせがバレたら、世間から袋叩きにされ、スポンサーは激怒。番組は終了を余儀なくされるか、視聴率が大幅に下降する。これほどの番組を失ったり、傷つけたりしようとは考えないはずだ。ちなみにバラエティにはスタッフが大勢いるから、やらせはいつか必ずバレる。

 普段はクールを装うGACKTが「格付けチェック」では熱くなるから面白い。ゴールデンボンバーの鬼龍院翔(38)と一緒に出た2020年元日、翔がミスをすると、かなり本気で怒っていた。GACKTは次の元日では復帰する。

(5)アドバンテージを得た強み

「正月は『格付けチェック』と『箱根駅伝』を観るもの」というイメージが浸透した。正月らしさを味わいたい人は減ったが、それでも求めている人はいる。そんな人は両番組を観たくなる。フジ「新春かくし芸大会」(1964年~2010年)が強い時代もそうだった。

(6)完成された浜田雅功の司会

 大物俳優だろうが、金メダリストだろうが、平気で斬り込む、突っ込む。それでいて観る側を不快にさせない。さらに正月らしさをサラリと盛り込む。今年はこう口にした。
「3が日で一番視聴率を獲っているのは、この番組。(映す価値なしになったら)3が日以降、外へ出られません」(浜田)

 浜田の司会でないと成り立たない。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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