貯金100万円を56億円にした元芸人が明かす「石炭と地銀」に注目する理由

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 11年前、芸人だった頃の貯金は約100万円。それが今では運用益56億円というから個人投資家の井村俊哉氏は、元手を5600倍に増やしたことになる。最近も海運株の上昇を当て、再生エネルギーブームの逆を突いて9億円を投じた石炭株・三井松島ホールディングスも急騰した。

 その井村氏が新たに資金を投じたのが石炭事業を手掛ける住石ホールディングスである。その額は約19億円。また、11月には地方銀行の富山第一銀行の株を2.22%取得し話題となった。

 なぜ改めて石炭と地銀なのか。個別の銘柄についてはコメントしないと前置きしたうえで、井村氏は二つの業界に注目している理由を話す。

「まず石炭ですが、世界的に見てエネルギー事情を取り巻く環境はまったく改善していません。むしろ、風が吹かないとき、太陽が出ないときに必要となるのが調整力のある火力発電であることがはっきりしたといえます」

石炭火力を見直す機運

 とりわけ石炭を使った「クリーン・コール・テクノロジー」は注視しているという。

「一言で石炭といってもモノによって品位が全く異なります。豪州で採れる高品位炭とインドや中国で採れる低品位炭とでは熱量で倍近い差が出るものもあり、CO2の排出量も変わってくる。高品位炭による高効率の発電ならCO2の排出も削減できる。さらに、CCSというCO2を地下に貯留する技術開発も進んでいて、脱炭素社会に貢献できる石炭もあるんです。こうした事実が浸透し、来年は石炭火力を見直す機運が高まるのではないでしょうか。事実、イギリスは30年ぶりに炭鉱開発に乗り出し、来年のG20サミットの議長国は電力の多くを石炭火力に頼るインドです」

 一方、銀行に関しては、来年の日銀総裁人事がカギと見ている。

「新総裁が黒田東彦(はるひこ)総裁のお考えに近いかどうか注目しています。黒田路線を踏襲する人でもマイナス金利の解除はあるとみます。逆に違う考えなら、10年間の黒田カラーを消すためにもサプライズで金融政策の正常化を推し進めるかもしれない。日本も足元では消費者物価指数が上昇しておりインフレを沈静化せよとの外圧もあります。すると何が起きるか。市中金利は上昇に転じ、利ざやの縮小に苦しんできた金融機関の利ざやは改善する。新総裁の誕生と金融政策の変更にマーケットの目が集まると考えるのは自然なことです」

“井村銘柄”は来年も株式市場を席巻するのだろうか。

週刊新潮 2022年12月22日号掲載

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