【防衛増税騒動】核心を突いていた安倍氏の岸田首相評とは? 安倍派議員は「保守派と財務省を味方に付けたつもり」

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 本当に増税するのかしないのか──怒りに震えながら報道を見ている人は、かなりの数にのぼるだろう。突如として浮上した「防衛増税」の議論。YAHOO!ニュースのトピックスに転載された各社の記事を振り返り、改めて経緯を確認しておきたい。

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 12月13日、毎日新聞の「防衛費増額巡り 首相『国民自らの責任』 一部増税で賄う考え」との記事がトピックスに掲載された。

 岸田文雄首相(65)の発言に、自民党の国会議員からも異論が噴出した。

◆防衛増税に反対する自民議員が会合 「内閣不信任案に値する」との声(朝日新聞デジタル:12月14日)

 強い反対意見に危機感を覚えたのか、岸田首相は土壇場で最終的な結論を先送りした。

◆防衛増税、実施時期先送り 岸田首相、政権運営に火種残す(時事通信・電子版:12月16日)

 玉虫色の決着に、党内に《火種》が残ったという。今も強く反対を表明している自民党議員の多くは、清和政策研究会(安倍派)の所属だ。

 安倍派の衆議院議員・高鳥修一氏(62)も、安倍晋三元首相(1954〜2022)の死去が増税議論に大きな影響を与えたと発言。複数のメディアが記事にした。

《安倍(晋三)さんがご存命であれば当然、岸田(文雄)首相は安倍さんに相談したはずですね。でも、その安倍さんが亡くなられたということで、安倍さんに相談するとか気兼ねするという必要がなくなった》(註1)

政策ビジョンは皆無

 12月18日、毎日新聞は「岸田内閣支持率25% 政権発足以降で最低 毎日新聞世論調査」の記事を配信。やはりトピックスに転載された。別の安倍派の国会議員は、安倍氏が生前に言っていた“岸田評”を思い出したという。

 曰く、「首相になることを目的に首相になっただけの人。政権を維持することしか考えていない」──。

「国民のことを真剣に考えていれば、あんな乱暴な増税議論などできるはずもありません。安倍さんが言っていたことが、正鵠を得ていたということでしょう」(安倍派議員)

 なぜ岸田首相は防衛費の増額を打ち出したのかという疑問も根強いが、これも「政権維持」という視点から読み解けるという。

「岸田さんはもともと、政策ビジョンなど持っていない人です。防衛構想を念頭に置いての増税議論ではありません。防衛費の増額を打ち出すことで、まずは安倍派など“自民党右派”の議員を取り込めると考えたのです。さらに、財源については財務省に全てお任せとしました。そうすれば、財務省も味方に付いてくれると踏んだのでしょう」(同・安倍派議員)

 確かに、財務省が岸田首相の背後にいると見る関係者は多い。安倍派の参議院議員・西田昌司氏(64)は夕刊フジのインタビューに、首相の増税方針は《財務省のゆがんだ思考と思惑》の結果だと指摘した(註2)。

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