高市未来 結婚後初の大会で優勝 メダル無しで「もうやめたい」からパリ五輪へ前進

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 女子柔道の強豪、高市(旧姓・田代)未来(28)=コマツ=は、女子63キロ級でリオ五輪(2016年)と東京五輪に出場したが、ともにメダルには届かなかった。東京五輪で日本勢は個人戦で全14階級のうち9つもの金メダルを獲得。とりわけ女子に関して言えば、全7階級のうちメダルが取れなかったのは彼女が代表で出場しながら2回戦で敗れた63キロ級だけだった。「もうやめたい」と悩み続けたという高市は、左足の膝の怪我を乗り越え、五輪以来1年5か月ぶりの国際試合出場となったグランドスラム東京(12月3・4日、東京体育館)に登場。見事に優勝し、パリ五輪出場へ大きく前進した。【粟野仁雄/ジャーナリスト】

まだ慣れない「新しい姓」

 高市は得意の寝技で一本勝ちして勝ち上がっていった。

 決勝の相手、渡邉聖子(23)=警視庁=は帝京大学から警視庁入りし、力をつけてきていた。両者左組の「相四つ」だったが組み手争いが激しく、双方なかなか技が出ない。組み手争いの激しさで渡邉の指が高市の顔をついてしまい、高市が顔を押さえて痛がる場面も。

 しかし、渡邉が早々に2つの指導を受ける。高市も1つ取られたが、終了前約30秒、技が出ない2人に対し主審から指導が与えられた。これで3つ目の指導となってしまった渡邉が「反則負け」となり、あっけなく終わってしまった。

 畳を降りた高市には涙も笑顔もない。ベテランらしく淡々と会見に臨むと「優勝したことは前に進めたかと思うんですが、決勝もそうですし、情けない試合内容でした。反省して次へ進みたい」「パリオリンピックを目指していくには勝ち切らなくてはならない試合だった。今日は私が勝つんだという気持ちで試合をしました」「先を見るのではなく一つ一つの試合を勝ち切るために頑張っていきたい」などと笑顔もなく話した。

 それでも記者に囲まれると「組み合わせに自分の名前を(旧姓で)がないかと思って探してしましました。まだ慣れていなくて……」などと、金メダルを胸に下げてチャーミングな笑顔を見せてくれた。

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