「二階幹事長」が受け取った政策活動費は48億円 自民党内から冷たい視線を浴びるワケ

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 5年間で50億円など、庶民には想像もつかない額だ──朝日新聞の調査報道が話題を呼んでいる。同紙電子版は11月26日、「使途公表不要の政策活動費、20年で456億円 二階氏には50億円」の記事を配信した。担当記者が言う。

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「『政策活動費』は政党が政治家に『使い道を明らかにしなくてもいい政治資金』として渡しています。与野党とも多額のカネが動き、東京(中日)新聞は21年8月、自民党、国民民主党、日本維新の会、社民党、れいわ新選組の5党が19年、政策活動費や組織活動費の名目で党幹部ら30人に総額約22億円を渡していたことを明らかにしました(註)」

 朝日新聞の調査では、政治家個人に巨額のカネが手渡されていた実態が明らかにされた。

《議員では、二階氏が最も多額となる計約50億6千万円を受け取っていた。うち約47億7千万円は幹事長時代(16年8月~21年9月)に計160回にわたって支払われ、1回あたり30万~7210万円だった》

《次いで谷垣禎一元総裁が23億1千万円、安倍晋三元首相が20億5千万円と多く、いずれも幹事長在任時期に集中していた》

 TBSも独自調査を行い、その結果を11月29日放送のBS-TBS「報道1930」(平日・19:30)で報じた。

 番組はTBS NEWS DIGでも「『「政策活動費」の見えない使い道 岸田総理 終盤国会の舞台裏』【11月29日(火)報道1930】」のタイトルで配信されている。

首相は会長、幹事長は社長

「朝日新聞の調査で、政策活動費は党の幹事長に集中していることが分かりました。そこでTBSは、21年の1年間、自民党の幹事長に政策活動費がいくら渡っていたかを調べたのです。それによると、同年10月1日まで幹事長だった二階俊博氏(83)には4億3910万円。10月2日から11月3日まで幹事長だった甘利明氏(73)には3億8000万円、11月4日に就任した現幹事長の茂木敏充氏(67)には12月末までに2億4520万円が渡っていました」(同・記者)

 なぜ「使途を明らかにしなくていいカネ」が幹事長に集中して渡されるのか、そもそも幹事長とはどんな仕事をしているのか、政治アナリストの伊藤惇夫氏に取材を依頼した。

「与党である自民党に限った説明になりますが、本来は自民党総裁が党のトップです。しかし自民党総裁は、一般的に首相を務めます。大手企業にたとえると、会長が経団連会長に就任したため財界活動に忙殺されるという状況に似ているでしょう。そのため社長である幹事長が、自民党という会社の実務全般を取り仕切るわけです」

 言うまでもなく、企業の使命は収益の最大化だ。政党の場合は議席の獲得になる。幹事長にとって最大の仕事は、選挙を仕切り、勝利を収めることだ。

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