「二階幹事長」が受け取った政策活動費は48億円 自民党内から冷たい視線を浴びるワケ

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首相と幹事長の人間関係

「自民党の幹事長は、選挙資金や候補の公認権を手中に収めます。絶大な権力であることは言うまでもありません。衆院選や参院選で勝利を収めれば、手柄は幹事長が独占します。敗北の責任を取るのも幹事長です。ただ、時の首相と幹事長の人間関係は、様々なパターンがあるので注意が必要でしょう」(同・伊藤氏)

 例えば、小泉純一郎氏(80)が首相だった際に幹事長を務めた武部勤氏(81)が、「偉大なるイエスマン」を自称していたのは有名だ。

「先のたとえを用いると、武部社長は小泉会長に絶対服従だったわけです。現首相の岸田文雄さん(65)は、幹事長である茂木さんを立てています。安倍晋三さん(1954~2022)と二階さんは微妙な力関係が働いており、いわば“戦略的互恵関係”とでも言うべきものでした。本来は相いれない会長と社長だけれど、互いが互いを利用するような関係でした」(同・伊藤氏)

 選挙資金は表に出せるカネもあれば、表に出せないカネもある。こうした“裏金”の使い道も多岐にわたるという。

二階幹事長の机

「どんな政党でも、基本的には領収書のあるカネしか出せません。ただし、有権者には許しがたいことでしょうが、選挙などでは表に出せないカネを必要としているのも事実です。例えば、あと少しで当選するAさんという候補者がいます。一方のBさんは落選確実です。幹事長が表立ってAさんに追加の選挙資金を渡すと、Bさんは『自分にくれなかったから落選した』と言い出すでしょう。そこで幹事長は、こっそりとAさんに、『あと少しで当選だ。このカネを使え』と裏で手渡すわけです」(同・伊藤氏)

 首相と幹事長の関係も様々なパターンがあるように、幹事長の“カネの使い方”も人それぞれだという。

「具体的な名前は差し控えますが、私が自民党本部に勤務していた時、様々な幹事長を間近で見てきました。選挙用だけという“綺麗な”使い方をする幹事長もいれば、公私混同が見受けられる幹事長もいました」(同・伊藤氏)

 実際、二階氏が幹事長だった際、カネの使い先に疑問の声が上がったことがあったという。ベテランの政治記者が言う。

「幹事長室の机の上に、二階派の議員が飲み食いした請求書が置いてあったのを見たという自民党議員がいました。政務調査費が使途を明らかにしなくていいことを悪用し、二階派議員の飲み食いにも使われたというわけです。政策活動費が突出して多いことにも驚きはないですね。とにかく幹事長時代の二階氏は金遣いが荒いという話をよく聞きました」

透明化が急務

 前出の伊藤氏も「さもありなん、という話だと思います」と頷く。

「二階派と言えば、自民党で最も古い体質が残っていることで有名です。二階派に入れば、親分がカネの面倒は絶対に見てくれます。ポストも確保してくれます。その代わり、親分の言うことには絶対服従です。かつて中選挙区制の時代ではよく見られた光景ですが、小選挙区制で同じことを続けているのには驚かされます」

 いずれにしても、有権者にとって「政策活動費」は看過できない問題であるのは言うまでもない。

「改革の第一歩は、使途の透明化です。アメリカの大統領選は巨額の選挙資金が動きますが、透明性も担保されています。日本の国会議員は『選挙にはカネがいる』と口癖のように弁解しますが、ならば実態を開示すべきでしょう。それで有権者の理解が得られれば問題ありませんし、有権者が怒るのなら選挙制度を改めるべきではないでしょうか」(同・伊藤氏)

註:5党、幹部に22億円支出 「政策活動費」など名目、使途報告不要(中日新聞・電子版:2021年8月31日)

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