梶谷隆幸“2億円の育成選手”のウラ事情 ルールの抜け穴を突く巨人の「二段構え」とは

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育成契約悪用は球界に蔓延

 梶谷と同じタイミングで育成契約を前提に自由契約になった選手では、高木京介投手も梶谷と同日に現状維持の2000万円で来季契約を結んだ。今後は、今季年俸が9500万円の中川皓太投手、同3600万円の高橋優貴投手らも最終的に育成選手と言えないような高額年俸を手にする可能性は大だ。

 巨人は現役ドラフトが終われば、育成契約の選手を故障の回復具合などを見ながら順次、支配下選手契約に切り替えるだろう。元NPB球団社長は、こう危機感を募らせる。

「育成契約を悪用する手法は今や、オリックス(9月にトミー・ジョン手術を受けたドラフト1位新人の椋木蓮投手を一旦、戦力外にして育成契約)など球界全体に広がりつつある。以前から選手会が問題視しており、育成選手もFAの人的補償や現役ドラフトの対象とするなど、早急にルールを改正すべきではないか。今オフは巨人がFA補強で不発に終われば、問題は大きくならないだろう。しかし、来オフ以降は分からない。現状を黙認していると、実際に育成契約が人的補償逃れで有効になったときに批判しても『これまでも、そうしてきた』と言われれば反論できなくなる。既成事実化してはならない」

球界ぐるみのルール軽視は、日本ハム新球場問題と通底

 球界ぐるみでルールを軽視する現状は先日の日本ハムの「新球場問題」とも通底する。

 先日、来季から日本ハムの新球場となる「エスコンフィールド北海道」で本塁からバックネットまでの距離が規定より短い50フィートだったことが発覚した。「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレイの妨げになる施設までの距離は、60フィート(18.288メートル)以上を必要とする」との日本の野球規則に反していたのだ。

 しかし、改修が間に合わないため、NPBは12球団の代表者会議を開き、23年は現状のまま試合を開催し、同年オフから2年がかりで改修する“大人の知恵”で強引に幕引きを図った。

「現実的な着地点とは聞こえがいいが、NPBがルールをないがしろにする風潮があることを満天下に示したようなものだった。育成選手の問題も本質は同じ。ルールに則ることはスポーツの基本。球界全体でこの理念を揺るがすような状態を放置したままでは、いずれファンにはそっぽを向かれる」と前出の元NPB球団社長は警鐘を鳴らす。

デイリー新潮編集部

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