梶谷隆幸“2億円の育成選手”のウラ事情 ルールの抜け穴を突く巨人の「二段構え」とは

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「女性醜聞」坂本と同日更改で問題分散化か

 プロ野球巨人の梶谷隆幸外野手(34)が11月30日に4年契約の3年目となる来季契約更改交渉に臨んだ。その結果は、育成契約ながら今季年俸と同額、実に年俸2億円(推定)でのサインとなった。

 DeNAから国内フリーエージェント(FA)で移籍1年目の2021年は相次ぐ故障で61試合の出場にとどまり、シーズン終盤に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けた。復活を目指した今季に至っては5月に左膝の手術を受け、1試合も出場できなかった。10月23日には育成契約を前提に、自由契約とすることを通告されていた。育成選手の相場の年俸数百万円での更改なら異論も出てこないのだが、当初の契約通りとはいえ前代未聞の億超え、しかも、2億円とは……。

 巨人が梶谷ら大量11選手を自由契約にした10月23日、発表と同時に今オフのFA選手獲得に伴う人的補償逃れではないかとのハレーションを招いた。

「梶谷は来年2月1日のキャンプインを目指すと言っているように、明らかに来季の戦力構想に入っている選手だった。巨人は確信犯でルールの抜け穴を突いたのではないか。その点を蒸し返されたくないこともあったのか、梶谷の更改はあえてサッカーのワールドカップ(W杯)で日本中が盛り上がっている真っ最中に、菅野(智之投手)、坂本(勇人内野手)の主力2人と同じ日の契約更改とし、目立たなくしたように見えた。特にシーズン中に女性スキャンダルで世の中を騒がせた坂本は、低調な成績を踏まえても現状維持の6億円だったことはばつが悪いため(梶谷と同日にすることで)、話題を分散させようとしたのではないか。読売新聞が親会社の巨人の世論操作は常套手段」(遊軍記者)

現役ドラフト回避の“隠れ蓑”

 ただし、皮肉にも今オフのFA戦線で、ここまで獲得選手は皆無だ。梶谷らを育成に“一時退避”させる策は効力を発揮していないため、人的補償逃れのようには映りづらくなっている。しかし、NPB球団元監督は、それは結果論という。

「巨人は森(友哉=西武からオリックスへFA移籍)ら人的補償が見込まれる大物選手を調査していた。その獲得に備えていたことは想像に難くない。FA選手獲得が不発でも自軍の故障を抱える多くの選手を育成にしておけば、現役ドラフト対象外という利点がある。巨人はハナからFAの人的補償と現役ドラフト、二段構えで手を打っていたのではないだろうか」

 12月9日、NPBで史上初の現役ドラフトが開催される。選手の「飼い殺し」をなくし、球界を活性化させようとする画期的な試み。各球団は2選手以上(うち1人は年俸5000万円以上1億円未満の選手も可)をドラフトにかけ、最低1選手の獲得が義務付けられている。梶谷は対象外となる「過去にFA権を行使した選手」などに該当するものの、その他の多くの選手は対象となるはずだった。

「巨人は最も選手の人材が豊富な球団の一つで、支配下登録70人枠では収まらないほどの巨大戦力を持つ。故障からの復活を目指す選手などは一人でも多く支配下から外しておきたいはず。育成契約は格好の隠れ蓑」(同)

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