“替え玉受験”で逮捕の28歳男は「関西電力本店勤務」 余罪は数千件、そんなに暇だったのか

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リモートワークの悪用

 田中容疑者は関西電力の社員として、大阪市北区の同社本店に勤務していた。しかし、就活のWEBテストは平日に行われることも珍しくない。

 もし田中容疑者が関西電力のオフィスで《イヤホンで回答を伝えていた》としたら、あっという間に、周囲の同僚から不審な目で見られていただろう。

 そうなのだ、田中容疑者はテレワークを悪用していたのだ──。

「田中容疑者のものと思われるTwitterを追っていくと、《今日は出社予定でしたが非常に多くのテストをいただいてるので午前中テレワークで対応していきます》とか、《本日テレワークですので極力日中もウェブテストします!》という投稿が見られます」(同・記者)

 ネット上の記述は疑ってかかるぐらいでちょうどいい。だが、替え玉受験を勤務先のオフィスで行うことは難しいことから考えても、上記のツイートの信憑性は高いと見ていいだろう。

 要するに田中容疑者は、仕事をサボって違法な副業に精を出していたとも言える。

 実際、テレワークだと社員はサボるのではないか、という疑念は根強い。そして、世界で最も有名な“テレワーク不信派”が、アメリカの電気自動車メーカー「テスラ」のCEOであるイーロン・マスク氏だろう。

大企業の職場環境

 かつてTwitterで「オフィスへの出社は時代遅れ」との意見が投稿されると、マスク氏は「そうした考えの人は、どこかで働くふりでもしていればよい」と噛みついて話題になった(註3)。

 マスク氏は「テレワークは“働くふり”でしかない」と不信感をあらわにしたわけだが、同じ考えを持つ経営者は決して少なくないようだ。

「田中容疑者はテレワークを悪用し、4年間で約1000万円の“副収入”を得ていた。テレワークが不可能な運輸や医療といった業種で働いている人や、テレワークでも仕事に忙殺されているような人にとっては、極めて不愉快な犯行だと言えます」(同・記者)

 勤務先が関西電力だったことも、この事件が話題になった要因だと言えよう。日本を代表するリーディングカンパニーの一つだ。

「人材も資金力も豊富です。特に電力大手は、公共事業という性格から社員の給与を抑える一方で、福利厚生を充実させてきた。関西電力におけるテレワークも、社員の過度な負担を軽減するという側面もあったはずです。しかし、大企業の恵まれた職場環境に甘えて悪事を働くという構図が浮き彫りになりました」(同・記者)

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