“替え玉受験”で逮捕の28歳男は「関西電力本店勤務」 余罪は数千件、そんなに暇だったのか
内定ゼロの女子大生
1人で“替え玉ビジネス”を始めるにあたって、料金は《2科目4000円》に設定したことは前に見た通りだ。
つまり1科目あたり2000円。依頼する就活生からすると大幅な値下げだが、田中容疑者が受け取る報酬は、グループの一員だった時から1円も値上げしていないことが分かる。
本人は就活生の負担を軽くしようという善意のつもりだったようだが、これが皮肉な結果を生む。
「『一罰百戒』という四字熟語がありますが、警視庁は田中容疑者を狙い撃ちすることで、同種の犯罪者らに手を引かせようとする意図があったようです。では、なぜ田中容疑者が目をつけられたかといえば、独立したという経緯が問題視されたのです。本人は値下げのための独立と考えたようですが、捜査側は『違法行為に本腰を入れるため、わざわざ独立した』と判断したわけです」(同・記者)
WEBテストを突破しても、それだけで内定とはならない。依頼した側の一部には、踏んだり蹴ったりの結果が待っていたようだ。
「まず田中容疑者の逮捕容疑に登場する女子大生ですが、替え玉受験は成功し、WEBテストは通過したそうです。ところが、面接で落とされた。女子大生は就活に苦労しているようで、これまで田中容疑者に二十数件の依頼を行ったことが明らかになっています。しかし、内定は1つも取れていないようです」(同・記者)
内定取消も発生
警視庁の捜査が、依頼主に思わぬ“余波”をもたらしたこともあったという。
「警視庁は、田中容疑者に替え玉を依頼した数人の就活生にも、任意で事情聴取を行っています。聴取を元に様々な捜査を行うわけですが、その中には企業に対する“裏取り捜査”も含まれます。事情聴取された就活生の中には、せっかく内定がもらえたのに、替え玉受験がバレて内定取消になった人もいたそうです」(同・記者)
少しかわいそうな気もしないではないが、やはりズルをするとそれなりの報いを受けるということなのだろう。
企業も替え玉受験の防止策を実施している。それをかいくぐろうとする田中容疑者の“企業努力”も相当なものがあったようだ。
TBS DIG NEWSは23日、「替え玉受検疑いで逮捕の京大院卒で関西電力社員の男(28) ビデオ通話アプリで“リモートカンニング”も手助けか」の記事を配信した。
記事は替え玉受験がどれほど手間のかかる行為なのか詳報している。該当部分を引用させていただこう。
《女子学生が受検したテストで一部の企業側は不正を防ぐため、パソコンの内蔵カメラで監視する対策をしていました。そこで、田中容疑者はテストの画面を自身のパソコンに共有させ、イヤホンで解答を伝えていたといいます。さらに、イヤホンがカメラに写り、不正がばれないよう「髪で隠した」と供述しているということです》
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