【ドイツ戦】勝負師・森保一監督に脱帽…勝ち点3以上の大きな意味とは?

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突然の“超攻撃的布陣”

 すると、ここを勝負どころと見たのか、森保監督は後半27分にボランチの田中碧(デュッセルドルフ)に代えてMF堂安律(フライブルク)を投入。鎌田大地(フランクフルト)をボランチに下げ、得意とする右のアウトサイドに堂安をコンバートした。

 さらに3分後、足を傷めた酒井宏樹(浦和)に代えて、右SB山根視来(川崎F)ではなくMF南野拓実(モナコ)を抜擢。冨安以外は攻撃的なカードを次々と投入し、5人の交代枠を使い切った。

 1トップと言うべきか、あるいはゼロトップと言うべきか。中央にMF伊東純也(スタッド・ランス)をスライドさせ、右に浅野、左に南野の攻撃陣。両WBは、右に堂安、左に三笘と、タイプの違うドリブラーを配した超攻撃的な布陣だ。

 堂安と三笘は1対1の守備に不安があるものの、持ち味も1対1での勝負だ。0-1のビハインドでは勝負を仕掛けるしかない。

 正直、森保監督がここまで思い切った手を打てる“勝負師”とは意外だった。そして、これまで一度も見たことのないシステムと選手起用に一番戸惑ったのは、対戦相手のドイツだったのかもしれない。

 後半30分、左サイドの三笘のカットインとタメによるスルーパスから南野がクロス。これはGKマヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)が弾いたものの、詰めていたフリーの堂安が左足で押し込んで同点に追いつく。

ドイツの混乱

 さらに38分、右FKから板倉滉(ボルシアMG)のロングキックに浅野が巧トラップで抜け出すと、マーカーをブロックしつつ角度のないところからニア上を抜いて決勝点をもぎ取った。

 同点弾から逆転まで、時間にして10分足らず。アルゼンチンに逆転勝利を収めたサウジアラビアもそうだったが、ジャイアントキリングを演じるには失点した相手の混乱に乗じるのが一番だ。

 その意味でもドイツの隙を突いた浅野の一撃は見事だった(浅野は簡単なシュートより難しいシュートを決めるイメージが強い)。

 日本はカタールW杯の初戦で、4度の優勝経験があり、今大会も上位進出が確実と思われる強敵ドイツから勝点3を奪った。

 グループリーグ突破への大きな勝点3ではあるが、それ以上に大きいのが、同点ゴールを決めた堂安であり、お膳立てをした南野や三笘、そして決勝点を決めた浅野ら交代選手の活躍である。

 今大会の日本の攻撃陣は若く、W杯が初出場という選手も多い。誰もがスタメンで出て結果を残したいと思うのは当然だ。

 そこでスタメン組が失点して0-1のビハインドを負った。しかし、交代出場の選手が活躍して逆転し、ジャイアントキリングを演じた。

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