偏差値は1千万円でいくつ上がる? 「中高一貫校」と「公立コース」どちらがいい? 成田悠輔×藤沢数希 コスパに見る東大合格大作戦

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高校生が「起業体験」などを金で買う

成田 そこで現になにが起こっているかというと、裕福な家庭の高校生が100万円以上かかる「2週間で多様な体験を買うためのパッケージツアー」に参加しまくっています。そこでNPOの活動や「起業」を体験して、大学受験の際に、それらをプレゼンすることで、合格を勝ち取るのです。学費や寮費といったわかりやすいコストだけではなく、そこに入るために整えなくちゃいけないパッケージがあって、高校のGPA(成績証明書)も重要、部活やボランティア活動といった課外活動を短い文章やプレゼンにまとめる能力も大事になってくる。そんなことの準備にかかるコストを総合して考えてみると、ハーバードなどに通ってる学生の家庭の平均年収が15万ドルを超えているのもわかる気がします。2千万円オーバーの収入がある家庭が、アメリカの名門大学に通う学生の実家の典型になっているというのは問題ですね。

藤沢 そんな中で、ほんの数%だけど、アメリカン・ドリーム的に貧困家庭出身者をたまに入れて、ガス抜きをするというのが、アメリカの名門大学ですよね。もちろん、ノーベル賞受賞者の数も、実際の研究レベルの高さもそうですが、世界のトップ大学は軒並みアメリカばかりで、やはり名実ともにすごいわけです。そして、成田さんもその中にいるわけですね。

成果を出しているのは、授業料を払っていない人

成田 アメリカの有名大学の学部でお金がかかるというのは、いい側面もあって、そうやって資産のある家から金を搾れるだけ搾って、それを元手に、才能はたまたまあるけど、生まれには恵まれなかった人への奨学金や研究資金にガンガンお金を流す仕組みになっている。そういう点では、アメリカの教育システムの生態系はうまくいっているように見えます。

――全然勉強ができたようには見えないのにイェール卒のブッシュJrは、たんまりお金を払ったほうの典型かもしれませんね。親と同じく大統領になりましたが。

藤沢 実際に、大学の名声を高め、すごい成果を出している人々は、世界中から集まってくる研究者と、インド人や中国人、あと最近は韓国人も多いですけど、授業料を払っていないどころか、大学から給料をもらっている博士課程の学生たちですね。この二重構造がアメリカの大学の仕組みなのです。

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