森友哉はオリックスに移籍へ 次々と主力が消える「西武FA流出史」を振り返る

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課題は打線の再構築

 今回の森のFA移籍についても、西武は19年のドラフトで柘植世那、昨年は古賀悠斗、今年は野田海人と、毎年のように捕手を獲得し、早い段階で“ポスト森”を見据えていたことが窺える。今季は故障で1試合出場に終わった2番手捕手・岡田雅利に加え、経験豊富な捕手をトレードで獲得する動きも見せている。

 森不在による懸念材料は、捕手だけではない。18年に“山賊打線”の名をほしいままにした強力打線も、浅村、秋山流出後はパワーダウンし、今季は12球団ワーストのチーム打率.229と貧打に泣いた。これに加えて、森までが抜けると、打線は一層深刻な状況に陥りかねない。

 森が抜けたあと、正捕手の後釜、打線の再構築という課題に対し、これまで主力が流出するたびに、きちんと戦力を整えてきた西武が、来季はどんなチームづくりをするかが注目される。

 主力のFA流出が止まらない西武が世代交代を繰り返しながら、毎年のようにV争いを演じているのに対し、FA補強で他球団の主力を獲りまくっている巨人が必ずしも思いどおりに勝つことができないのも、FAの面白さと言えるだろう。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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