亡くなった村田兆治さん、6月に見せていた“異変” 近年は「うつっぽかった」の証言

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「少しうつっぽい」

 今年9月、村田さんは羽田空港の保安検査場で暴行騒動を起こし、現行犯逮捕された。元ロッテの強打者で監督も務めた有藤通世氏(75)は事件についてこう振り返る。

「空港のトラブルが尾を引いている気がしますね。特に村田は、ああいうのを気にするタイプ。すごいショックだったと思うし、自分のことをすごく責めていたんじゃないかと想像します。金田(正一)さんが生きていてくれたら、なんらかの言葉をかけてくれていたかな、と思ってしまいます」

 その少し前にも、高いテンションが続いたかと思うと、急に無言になるので「少しうつっぽい」と感じたと話す野球関係者もいる。

 家族が近くにいたら励まされただろうが、ひとり思い悩むうちに、あの逮捕劇は村田さんのなかで、家族を犠牲にしてまで一途に築き上げた「すごい村田」が壊れた瞬間、と受け止められてしまったのかもしれない。酒で気を紛らわすことも、「酒は一切やらない」(木樽氏)という村田さんには難しかった。

「尊敬できる兄ですよ。一つの志を決めて、自分にはできないことをいっぱい成し遂げた人ですから。逮捕の件ですが、相手には申しわけないと話していました。はい、ショックは受けていましたね」

 と語るのは弟の光英氏。村田さんと親しかったという近所の女性が言う。

「3、4年前には庭で孫とキャッチボールをしてくださったり、と気さくな方で、最近も買い物に行ったり、ゴミ出しをしたり、普通の生活をしていました。でも、この間の事件から引きこもってしまったのか、出かけられないようになって、すごく心配していたんです」

 事実、逮捕後は沢村賞の選考委員を辞退し、子供たちを指導することもなくなった。あまりにも悲しく唐突な死に、今も静かな衝撃が広がっている。

週刊新潮 2022年11月24日号掲載

特集「愛妻と別居…2階居間から検出されたものは…自殺濃厚『村田兆治』ひとりぼっちの寂寥」より

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