岡田阪神に“不安材料”が山積…ドラフトや補強戦略に他球団から疑問の声

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外部からの“上積み”が重要

 実際に渡辺は19年から3年間、チームで最も多くセカンドとして出場している。だが、野球データの分析を行う「DELTA社」が発表しているセイバーメトリクスで示す守備範囲の指標を見てみると、20年、21年連続で規定守備イニング(所属チームの全投球回数の1/2)をクリアした選手の中では、最も低い数字になっている。今年は出場試合数が少なく、参考にできないが、昨年の数字を比べると、守備面で批判されることが多い糸原と比べても劣っていることは明らかだ。

 高浜に関しても、昨年は初めて一軍で100試合以上に出場して8本塁打を放つなどブレイクの兆しを見せたが、今年は再び二軍暮らし。ファーストがメインの守備位置であることを考えると、DHのないセ・リーグでは外国人選手との争いとなることが多く、よほど打撃でアピールしなければ、定位置の獲得は難しい。

 一方、外国人選手は、ここ数年は投手で活躍する選手は多いものの、野手に関しては複数年にわたって期待通りの働きを見せている選手は見当たらない。

 岡田監督で最後に優勝した05年当時のチームは、FAやトレードで獲得した金本知憲、矢野輝弘(当時の登録名)、下柳剛が主力となり、外国人選手も投手はウィリアムス、野手はシーツが大活躍を見せている。そういった外部からの“上積み”が重要であることは間違いないだろう。

若手育成の手腕を不安視する声も

 FAによる補強封印のコメントを見ても、現有戦力の底上げによって優勝を目指す意気込みが感じられる。実際に前回指揮を執った時には、投手で藤川球児、野手では鳥谷敬らを“不動の主力”へと押し上げている。

 現在のチームにも楽しみな若手が多く、こうした実績に期待しての監督再登板とも考えられるが、若手育成の手腕についても、ここへ来て疑問の声も上がっているという。

「15年ぶりの監督復帰ですから、当然、岡田監督のことを知っている現役選手はいません。前回は二軍監督や一軍のコーチを経てからの就任で、岡田さん自身もチームの若手のことをよく知っているので、お互いにやりやすかった部分もあると思いますが、今回は、そういう背景がないため、一から関係を作っていく必要があります。そうなるとコミュニケーションが大事になりますけど、岡田さんは口数が多い方ではなく、今の若い選手には考えていることを理解するのが難しいという不安の声があるようです。そんな中で前回の時のように若手を抜擢することは難しいのではないでしょうか」(前出のセ・リーグ球団編成担当者)

 矢野前監督もコーチ、二軍監督を経て一軍の監督に就任し、優勝こそ達成できなかったが4年連続でAクラスという好成績を残している。そこから選手と年齢差も大きく、長らく現場を離れていた監督が復帰することで起こる軋轢もありそうだ。そんな数々の“不安材料”を抱えながら、どうやってチームを作っていくのか。阪神、そして岡田監督の動向に引き続き注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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