「芸能界のドン」への配慮も? NHK「紅白歌合戦」出場者に見る最新「業界勢力図」と「卒紅白」のうねり

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落選「LDH」の後ろ盾

 今回、もうひとつの驚きが「EXILE」や「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」などの人気アーティストを擁するLDHから1組も選出されなかったことだ。しかし芸能プロ幹部に言わせると「意外でも何でもない」という。

「LDHの“後ろ盾”と見られてきたのが、エイベックス会長の松浦勝人氏です。松浦氏は一時、“将来の音事協の会長候補”とも目されたが、2017年に音事協理事を辞任。20年にはエイベックスCEOも退任し、業界内での存在感は以前と比べると薄れた。NHKがLDH枠をゼロにしても大きな反発は起きない環境が整っていました」

 近年の紅白の新たな“常連”となっているK-POPアーティストも韓国の芸能プロに所属する一方、初出場の人気ガールズグループ「IVE」は大手芸能事務所アミューズが日本におけるマネジメントなどを手掛けている。同じく初選出のアイドルグループ「LE SSERAFIM」は、俳優・小栗旬らが所属するトライストーンが業務提携する韓国アイドルグループBTSの所属事務所HYBE傘下に籍を置くなど、日本の芸能プロとの深い繋がりも指摘されている。

「今回のラインナップを見て、いま勢いや影響力のある芸能事務所に連なるアーティストは漏れなく出場しているとの印象です。業界への目配りも行き届いた絶妙なバランスの人選と考えています」(同)

「知っている歌手がもういない」

 芸能事務所サイドからの評判は上々のようだが、その結果、置いてけぼりを食ったのが視聴者だ。

 芸能リポーターの川内天子氏が指摘する。

「“いったい紅白は誰のほうを向いてつくっているのか?”と疑問に思う部分はあります。人選基準が年々見えづらくなっていて、“名前を聞いても誰か分からない出場者が増えた”との声をよく聞きます。若いアーティストを起用して“新しい風”を取り入れるのは重要ですが、私の周囲では“知っている人がほとんどいない”という理由で紅白を見なくなった〈卒紅白〉を宣言する高齢者が増えています」

 若い世代の取り込みに躍起になるほど、紅白を支えるコア視聴者である“高齢者離れ”を加速させるというジレンマに苦しむNHK。

「みずから“紅白存続”の危機を招いている自覚がNHKには足りないように映ります。なんだか“演歌枠を残しておけば高齢者は見てくれるだろう”と安直に考えている風にも感じ取れるところが寂しい。紅白を観て1年を締めくくる――との風習が失われつつあるなか、いまこそ番組そのものが正念場を迎えている現実と真摯に向き合うことが必要なのでは」(川内氏)

 厳しい声が高まるなか、「国民的番組」の真価が問われている。

デイリー新潮編集部

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