ツイッター社大量解雇で揶揄の声も 「ジェフガ―」「U.S.ガ―」「英語の資料は?」外資系企業日本法人社員の哀しき“しぐさ”

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マイケルから怒られる

 そしてこの「ファーストネーム呼び」というものは、そこはかとない哀愁を感じるのである。というのも、のび太がスネ夫やジャイアンにいじめられているように時に感じてしまうのだ。泣きながらのび太が「ジャイアンガー!」「スネ夫ガー!」とドラえもんに泣きつくように感じてしまうのだ。上記の通り、日本支社の社員は伝書鳩的な役割を果たすこともあると述べた。つまり、権限が少なく、さらには本社のある「ユーエス(U.S.)」や「パリ」に合わせなくてはいけないため、締め切りがかなり厳しくなる。向こう時間の出社時刻に書類の提出が求められるのだ。電話やメッセンジャー、メールでこんな会話になる。たとえばその人の名前をコウジとしよう。

コウジ:中川さん(私のこと)、先ほどマイケルの秘書から連絡があり、急遽幹部の来日スケジュールの中でどのように動くかの行程票を作るよう依頼が来ました。U.S.の出社時刻は日本時間の朝2時です。現在21時ですから、少なくとも4時間後までには欲しいです。

私:いや、それは無理ですよ。私、別の仕事やっていますし、S今日までの宿題はもう出しましたよね。

コウジ:困りますよ! 僕だって、今、てんやわんやなので、手伝ってくださいよ。出さないとマイケルから怒られますし、僕の評価が悪くなるんです!

私:そうですか。分かりました。やりますね。

キックオフパーティの悲哀

 実に悲哀に満ちたポジションではないか。そして、その悲哀を徹底的に感じる出来事があった。2022年5月の夕方である。この日、私は知人と2人で西麻布の巨大居酒屋「権八」にいた。ここは小泉純一郎元首相とジョージ・ブッシュJr.元米大統領が会食をした場所として知られる。六本木や広尾といった外資系企業が多いエリアの近くにあるのと、和風の雰囲気から外国人にも人気がある。

 すると、6人が座れるテーブル4つの入り口に近い方から少しずつサラリーマンが入ってくる。若い白人男性も入ってきて、そのテーブルの中心に座った。そして、次々と日本人の社員が入ってきた。続けて白人の男女社員がやってきて、日本人の偉いポジションの人が入り、いかにも「オレ! エラい人!」オーラを出す大柄な白人男性と仕事のできそうな白人女性が入ってきて、最も入口から遠いテーブルの近くに陣取った。恐らく外資系企業の何か新サービスをローンチさせるためのキックオフパーティか何かだろう。

 かくしてパーティはスタートしたが、白人社員はスマートに立食しながら色々な人と楽しそうに喋っているが、エラくない日本人従業員は隅の方で黙っている。完全に本社から来た人間(支配者)と、支社の人間(労働力)のヒエラルキーが感じられるのである。そして、入口に近い方から埋まっていったのも【1】エラくない人はエラい人より先に来る【2】店内には「下座」「上座」の概念があり、エラい人ほど入口から遠い場所に行くからだ。

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