「兵士は畑で取れる…」ロシア軍の人命軽視が招く“惨状” 専門家は「第二次世界大戦から全く進歩してない」

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「兵士は刑務所で取れる」

 第二次世界大戦時のスターリングラード攻防戦を描いたこの映画では、ソ連軍はろくに訓練も受けさせずに新兵を戦場に動員し、小銃は「2人に1丁」しか渡さないまま、いきなり最前線に放り出すのだ。

 だが、こうした悲惨な状況は過去のものではないようだ。今でも同じようなことがウクライナの戦場で起きている。

 Business Insider Japanは11月4日、「ロシア軍は『ほとんど使えない』旧式ライフルを予備役に支給している…英国防省、『兵站に問題を起こす』と指摘」との記事を配信した。

《イギリスの情報筋によると、ロシアは、新たに動員された予備役の兵士に「ほとんど使えない」ライフルを持たせてウクライナに送ったという》

「動員兵や新兵に『衣服や寝袋は自分で調達しろ』という命令が下ったことも報道されています。ウクライナの最前線に展開するロシア軍部隊の写真をよく見ると、魚市場の人たちが使うようなゴム長靴を履いている兵士がいました。どうやら軍靴も支給されていないようです」(同・軍事ジャーナリスト)

 今もロシア軍は「兵士は畑で取れる」と信じているのだろうが、ウクライナ戦争では「兵士は刑務所でも取れる」と考えているようだ。

 TBS NEWS DIGは11月7日、「殺人など重大犯罪受刑者も動員可能に プーチン氏法改正案に署名 民間軍事会社通じ『受刑者500人超が死亡』独立系メディア」との記事を配信した。

死地に送られる囚人兵

《ロシアのプーチン大統領は、殺人などの重大犯罪の受刑者らについても軍への動員を可能とする法改正案に署名し、法律が成立しました》

 囚人兵は文字通り“死地”に送られているという報道もある。時事通信が11月6日に配信した、「受刑者500人以上戦死か プーチン氏に近いロ軍事会社」の記事だ。

《AFP通信による東部ドンバス地方の取材では、受刑者は最前線で決死の前進を命じられ、発砲するウクライナ軍の位置をあぶり出すのに使われているという》

「アメリカ軍は湾岸戦争でGPSや最新の無線システムを活用し、その後もインターネットを中心としたデジタル化を推進することで『IT化された軍隊』の力を示しました。そしてウクライナ軍は今回の戦闘で『ドローンの威力』を証明しました。いずれも技術革新によって戦史を塗り替えるインパクトを与えたわけですが、そうした潮流をロシア軍は全く無視しているようです」(同・軍事ジャーナリスト)

 先に「兵隊は畑で取れる」という喩えの真意として、「新兵教育の欠如」も含まれることに触れた。

 例えば、軍隊における「移動」は、単に「歩くこと」だけを意味しない。徒歩で移動するにしても、「偽装、警戒、監視」といった一連の動作が必須だという。

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