「犯人はあんたしかおらん」 餃子の王将事件、京都府警に“黒幕”と疑われた人物の正体とは?

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 9年の時を経て、事件解明はようやく緒についたといえようか。「餃子の王将」社長射殺事件で、京都府警は別件で服役中の暴力団組員を逮捕した。背後には、特定の人物との“巨額取引”があるとささやかれてきたのだが、はたして捜査は闇に斬り込むことができるのか。

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 乗り越えるべきハードルはいまだ険しいながら、迷宮という“軛(くびき)”からひとまず解き放たれた捜査幹部らは、口々に「次の展開」を示唆していたのだった。

 王将フードサービスの大東(おおひがし)隆行前社長(享年72)を殺害したとして10月28日に逮捕されたのは、特定危険指定暴力団工藤会系組幹部の田中幸雄(56)。別件で懲役10年の判決を受け、福岡刑務所で服役中の身だった。

「その夜、山科署に置かれた捜査本部が府警本部で会見を開き、福岡県警の幹部も同席、合同捜査本部が設置されました」

 とは、京都府警担当記者。

「会見で府警は『背後関係を含めて解明を進める』とし、田中が犯罪集団に属することから組織的な背景があるとみていると述べました。その上で、『さまざまな関係者から事情聴取していく』と明言したのです」

捜査に大きな展開が

 事件は2013年12月19日の早朝に発生した。毎朝の日課である玄関前の掃除のため、京都市山科区にある本社に車で到着した大東氏は直後、至近距離から4発の銃弾を浴びる。1発は胸を貫き、ほぼ即死の状態だった。が、肝心の銃声を聞いた人が見当たらず、有力な目撃証言もない。捜査は難航し、目立った進展もないまま時は流れていった。

 そんな状況下で大きな展開があったのは、事件から2年が経とうという15年暮れであった。現場の遺留品から検出されたDNA型が、九州の暴力団関係者のものと一致したと一斉に報じられたのだ。この遺留品とは「タバコの吸い殻」であり、あわせてハンドルに硝煙反応が残るオートバイやナンバープレートが付け替えられたスクーターも発見。いずれも事件の2カ月前に盗まれていたとの事実もニュースになったのだが、

「DNAの件については15年夏以降、各社ともつかんでおり、もともと捜査当局も事件から2年の節目で報じることを容認していました。つまりはそれだけ情報が乏しく、京都府警としては福岡県警の協力を得るため、大々的にアピールする必要があったのです」(同)

 むろん吸い殻に付着していた唾液とDNA型が一致しただけでは「実行犯」とは断定できず、

「捜査をかく乱させるために第三者が持ち込んだ可能性もあり、当局は吸い殻を慎重に鑑定、タバコの火が湿った場所で消されていたことを突き止めました。当日は小雨で地面が濡れていたことから、現場で田中が吸ったものだと判断されたのです」(同)

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