日本一有名なパロディ時計「フランク三浦」 本家に“勝訴”から山あり谷ありの5年間

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フランク三浦をリブランディング

 こうした厳しい状況の中で、下部社長は改めて業務を見直し、フランク三浦の可能性に気づいたという。

「フランク三浦の時計の売上げはピーク時の10分の1とかですが、ライセンスの財布が年に1万個売れたり、ゴルフ関連グッズが好調で、ブランド全体の売上げは時計のピーク時のちょっと下ぐらいまで上がってきてたんです。SNSで若い子が“親がしてた。懐かしい!”と時計を買ってくれてるのをよく見ますし、昔出した『マカオ』という文字盤にサイコロやルーレットが入った廃盤モデルが海外でバズってるらしく、100人ぐらいから問い合わせが来ました。商談では“フランク三浦、作ってます”と言うと反応が全然違って、話が深まるんですよ。思ってたよりずっと認知と信用がありました」

 そこで改めてフランク三浦などの自社ブランドに力を入れていくことにしたという。

「フランク三浦ブランドをアクセサリー、お菓子、ふりかけ、ラーメン、カレー、納豆……など、色々なジャンルに展開していこうと考えてます。また最近、僕らとは別のパロディブランド『THE PORK FACE(ザ ポークフェイス)』のコラボ時計を作らせてもらったんですが、これまで200社とやらせていただいた企業コラボ時計も積極的にやっていきます。もう一つの自社ブランド時計、ギラギラでアジアウケがいい『ダニエル・ダグラス』も押していきます」

「ザ ポークフェイス」については、年末からディンクスがオフィシャルライセンスグッズを販売していく予定だという。

 最高裁での勝訴確定から5年。その間、同社は、知名度が上がったチャンスと弊害、そして、消費増税や円安によるピンチに振り回されていた。荒波を乗り越えてたどり着いたのは「フランク三浦」ブランドの再興。これからまたフランク三浦を目にする機会が増えるかも?

華川富士也(かがわ・ふじや)
ライター、構成作家、フォトグラファー。1970年生まれ。昨年、長く勤めた新聞社を退社し1年間子育てに専念。今年からフリーで活動。アイドル、洋楽、邦楽、建築、旅、町ネタ、昭和ネタなどを得意とする。過去にはシリーズ累計200万部以上売れた大ヒット書籍に立ち上げから関わりライターも務めた。

デイリー新潮編集部

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