「王将」射殺事件 射殺された社長が「鳩レース」で見せた顔が暗示するもの

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前社長とは対照的なスタンス

「鳩レースはオーナーになれるのは当然として、競馬でいうところの騎手にもなれるし、そういった点は競馬や競艇にはなく、総合的にレースにコミットできるところが魅力です。賭けるとなると日本では違法ですが、鳩の売買については全く問題ない。楽しみ方が奥深く、大東さんも鳩飼いの間でとても評判は良かったですよ」(同)

 大東さんの先代社長、加藤潔氏もまた愛鳩家として知られていた。そして「鳩仲間」として見せる顔は、大東さんとは好対照だったようだ。

「私は加藤さんとも付き合いがあり、自宅に招かれて鳩を見せてもらったことがあります。彼は暴力団、特に会津小鉄会との浅からぬ交流を隠すことはなかったですね」(同)

 その一方で、その後を継いだ大東さんは加藤氏とは正反対のキャラクターだったという。

「先ほども触れましたが、暴力団全体との付き合いを断ちたいというスタンスが感じられました。これまで王将とうまく付き合ってきたのにどうして冷たくあしらわれるのかと不満に思った勢力は少なくないでしょう」(同)
 
 もちろん現代の企業経営者として大東さんのスタンスが極めてまっとうなのは言うまでもない。

工藤會からの何らかの要求を

 王将フードサービスをめぐっては、かねて反社会的勢力との関係が取り沙汰されてきた。2016年3月、第三者委員会による調査報告書が発表され、創業家と関係が深い福岡県内の不動産会社を経営する男性が率いる企業グループとの取引の中で、約200億円が流出し、約170億円余が未回収になっていたことが報じられている。

「その件も捜査対象になるようですし、王将が九州へ進出するにあたって、工藤會から何らかの要求があったものの、それをはねのけた結果、逆恨みされたという見方もあるようです」(先の記者)

 日本で唯一、「特定危険指定」されている工藤會は当時、相手が一般人であろうと誰であろうと凶器を向け続けた。その報いが今年、2トップに対して下された死刑と無期懲役判決だったのだが、

「事件当時の2013年はまだまだ工藤會はイケイケで、シノギを邪魔されたり、その意のままにならなかったりするなら、対象を“消そう”という発想になることもしばしばでした」(同)

 田中容疑者は逮捕に至ったことで起訴されるのは間違いなく、裁判所でもかなり長い有期刑が下される可能性が高そうだ。そんな状況の中で田中容疑者がどんな対応を見せるのか、注目が集まっている。

デイリー新潮編集部

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