「夫のことが心底嫌になった」 家事の細部まで指示されて離婚を口にする38歳妻

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離婚まで一気に決めないで

 さて。

 結婚して10年以上、夫の指示をよく聞き、指示に従ってきた38歳の妻が、夫からの細かい指示をばかばかしいと思うほど意思が表れ離婚したいという気持ちを持ちました。彼女はどうしたらいいのでしょう。

 まず考えなければならないのは、「いい子症候群」から抜け出すことです。

 彼女にとっては厳しいかもしれませんが、次のようなことを伝えました。

――今まで夫に対する不満はあるものの安定した生活が守られていたから、「従順な子供」のまま過ごしてくることができた面があるのは否めません。

 もしもあなたが離婚して、生きるために、子供を育てるために働くのであれば、彼女自身が「従順な子供」から「意思を持った大人」となる必要もあるでしょう。これは少しの努力でなることができるわけではありません、それなりに厳しいことです。

 意思を持った大人になるためには、あなたが自分自身の気持ちを知ることから始めなければなりません。

 なぜなら、今までは夫の指示に従っていれば(不快な時があったとしても)生活できたものが、離婚するのであれば、自分で自分に日々指示なり命令なり提案しながら生きなければならない。厳しいことです。

「自分はどう生きていきたいのか」「本当はどうしたいのか」を繰り返し自身に問うて、その結果が離婚ではなく結婚を続けることとなる可能性もあります――。

 少なくとも、こうしたことを考えずに、今の気持ちのまま離婚を決めてしまうのだけはやめたほうがいいでしょう。

 幼少期から続いてきたことを急激に変えることは難しいため、落ち着いて、時間をかけて一つ一つ決めていくことが大切です。彼女は今その入口に立ったばかりですので、一人で自身に問い続けるのでは偏りが起こる可能性もあるため、継続したカウンセリングあるいはコンサルティングが必要ですが、ようやく自分自身を見つめ直すきっかけを得たわけです。

 大丈夫。

 そんな言葉を添えて、いったん彼女を見送ることにしました。

池内ひろ美(いけうちひろみ)
家族問題評論家。一般社団法人ガールパワー(Girl Power)代表理事。家族メンター協会代表理事。内閣府後援女性活躍推進委員会理事。1996年より「東京家族ラボ」を主宰。『とりあえず結婚するという生き方』『妻の浮気』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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