「silent」目黒蓮は大勝利! 明暗分かれたジャニーズ秋ドラマに見る「健気男子」の兆しとは

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ドラマに増え始めた「泣く」ヒーロー……際立つジャニーズの「健気売り」

 最近のドラマは、とにかく主演男性がよく泣く。ステレオタイプの男性らしさからの解放、という時代背景も感じるが、「涙もろい男性」はキャラが立つし愛されるからだろう。感情的なドジっ子ヒロインの号泣姿には胸焼けしているお茶の間も、ちょっと繊細なイケメンの泣き顔にはつい同情してしまうのではないだろうか。純粋さや男気、優しさ……彼らの一粒の涙にさまざまな性質が浮かび上がる。今期も目黒さんや玉森さん、吉沢さんがさっそく初回から泣き顔を見せていた。

 そんな「健気男子」役は、ジャニーズと実に相性がいい。悔しくて泣こうが、おびえて泣こうが、絵面は王子様のような美しさ。母性をくすぐるいたいけな姿は、さすがジャニーズとうならせる。また相手役のヒロインも、女性層に嫌われないよう、勝気で明るい女性という設定は多い。対照的な存在として、涙もろく優しい男性は描きやすいこともあるだろう。

 例に漏れず、ジャニーズ共演ヒロインはしっかり者キャラだらけ。だからこそなお引き立つ、彼らの涙。好調なドラマの共通点をあえて言うならば、主演俳優がカッコいいというより健気に見えること、と言ったら言い過ぎだろうか。

 プライドと不安の間で揺れる目黒さんや、「PICU」の吉沢さんもお人よしで真面目。二人とも母親思いなのも健気ポイントが高い。涙や幼い言動を売りにするあざとさではなく、むしろ意地を張って泣くまいと空回りするタイプ。でも、カッコつけたはずが思ったほどカッコがつかないいじらしさは、泣かせるキャラとしての強みになる。ちなみに目黒さんの恋敵役の鈴鹿央士さんも、これまた泣きの演技でいい健気男子ぶりを見せていた。

 一説によれば、笑うよりも泣く方がストレス解消に効果的なのだという。真正面から「泣かせてくれ」という欲望に応える「silent」のヒットは、いかに世の中がギスギスしているかの表れだ。不敵にほほむカッコ良さより、鼻水混じりで泣くカッコ悪さで視聴者をつかむ時代。「健気男子」の兆しは、あれこれ言われがちなジャニーズの追い風になるかもしれない。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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