9度目の世界一になったR・マキロイ 「2歳で飛距離は40ヤード」の天才児がゴルフ界の牽引役になるまで
リーダー的存在になったきっかけ
2014年には全英オープン、WGCブリヂストンインビテーショナル、全米プロとビッグ大会3試合で連続優勝を飾り、メジャー通算4勝目を挙げたが、年間王者の座はまたしても逃した。
このころのマキロイは、言動もゴルフもただただアグレシッブで、ストレートな物言いが周囲からしばしば批判されていた。ミスショットした自分に腹を立て、クラブを池の中に投げ入れたこともあり、「生意気だ」「思い上がりだ」と非難もされていた。
そんなマキロイに大きな変化が訪れたのは、2016年の最終戦、ツアー選手権の最終日だった。
マキロイがウイニングパットを沈めたちょうどそのころ、彼が勝利する瞬間を待っていたかのように、ゴルフ界のキング、アーノルド・パーマーが静かに息を引き取った。そのタイミングは、まるでパーマーが「ローリー、これからのゴルフ界を頼むよ」と言いながらマキロイにバトンを渡したかのように感じられたが、マキロイ自身、その不思議なタイミングに感じるものがあったのだろう。
それからのマキロイの言動には、以前とは別人のような落ち着きが見られるようになり、さらなる勝利を重ねる一方で、PGAツアーの選手たちを取りまとめるリーダー的存在となっていった。
王者ウッズが相次ぐ膝や腰の手術で戦線離脱を余儀なくされていった中で、「ネクスト・タイガー」の役割を自ずと担っていったのがマキロイだった。
そうなっていったことは、きっとマキロイが生まれ付いた運命、いや、宿命だったのだろう。
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