巨人は浅野翔吾を「右の吉田正尚」と思っているようだが、これはちょっと違う【柴田勲のセブンアイズ】

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右拳を突き上げた原監督

 巨人・原辰徳監督、よほどうれしかったのだろう。「交渉権確定」のハンコを確認すると右拳を突き上げていた。目も赤かった。

 20日のドラフト会議で1位指名を公表していた高松商業・浅野翔吾外野手(17)を阪神との競合の末、当たりくじを引いた。巨人初の高校生外野手1位だ。

 原監督はドラフトの抽選で通算1勝11敗、実に自身6連敗中だった。これまで本当についていなかった。それだけにうれしさが何倍にもなったのだろう。

 巨人は浅野の1位指名を9月末には発表したが、それまでは投手を指名すると思っていた。外野手の浅野にしたのは今シーズンを振り返り、将来に向けての構想からだろう。

 昨シーズン活躍した松原聖弥が伸び悩み、アダム・ウォーカー、グレゴリー・ポランコも原監督の中では守備面を含めてもの足りなかったに違いない。丸佳浩は来年34歳、バリバリできるのは後3年くらいだろう。レギュラーを取るような選手は出ていない。

「走攻守」の3拍子がそろった選手

 浅野は高校通算68本塁打を放っている超高校外野手だ。今夏の甲子園では1番打者として春夏通じて初の1大会3本塁打を放った。

 夏の大会をじっくりテレビ観戦した。これまで甲子園で1番を打っている選手を大勢見てきたが、「オッ、高校生でこんな1番がいるのか」と目を見張ったのは浅野が初めてだった。

 打力に加えて足もある。50メートル走5秒9だそうで、しかも遠投110メートルという強肩の持ち主だ。

 「走攻守」の3拍子がそろった選手で高校の(長尾健司)監督が1番で起用したのがよくわかる。出塁率の高さがあり、余裕の長打力を持っている。

 日本ハム・清宮幸太郎とはタイプが違う。巨人は「右の吉田正尚」(オリックス)に姿を重ねているようだが、これはちょっと違うのではないか。

 それよりまず目指してほしいのは最近で言えばヤクルト・塩見泰隆であり、阪神・近本光司みたいな1番打者だ。近本は3番を任されることがあったが個人的には1番がピッタリだと思って見ている。

 いい1番がいるチームは強い。リーグ連覇を果たしたヤクルトが好例だ。

 さらにさらに言うなら、「第2の柴田勲」であり、「第2の高田繁」を目指してもらいたいと思うし、巨人の理想も最終的にはそうだと思う。私にしても高田にしても「三拍子」そろっていた。

 脚力に注目したい。巨人で足のある選手とくれば増田大輝、湯浅大らということになるけど、いかんせん代走要員だ。スイッチの若林晃弘にしても小粒の印象だ。

 常時試合に出場して足を使えるとなると、戦力的にすごく大きくなる。いまの巨人で足を使えるのは吉川尚輝くらいだ。

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