ドラフトで何が起きた? 上位候補選手が“指名漏れ”や“下位指名”となった裏事情

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まさかの“指名漏れ”

 10月20日に行われたドラフト会議。事前に9球団が1位指名を公表する異例の事態となったが、最終的に支配下で69人、育成で57人の合計126人が指名を受けた。今年メジャーでプレーした加藤豪将(メッツ傘下)が日本ハムの3位で指名されたほか、育成では、山口アタル(テキサス大テイラー校→日本ハム育成3位)、永田颯太郎(国立台湾体育運動大→楽天育成4位)の名前が呼ばれ、ファンを驚かせた。だが、それ以上に予想外だったことは、上位指名が確実視されていた、立教大の大型セカンド、山田健太が“指名漏れ”となったことだ。【西尾典文/野球ライター】

 山田は、大阪桐蔭では下級生の頃から中軸を任されており、3年時には根尾昂(現・中日)、藤原恭大(現・ロッテ)とともに甲子園春夏連覇を達成している。立教大に進むと、現役通算最多となる85安打を放ち、今年は大学日本代表でキャプテンも任せられた逸材だ。貴重な右打ちの大型内野手ということもあって、上位指名、展開によっては1位が予想されていたが、蓋を開けてみると、最後まで名前を呼ばれることがなかった。

 これまでも上位候補として期待された選手が“指名漏れ”になるケースはあったが、今年のドラフトは目玉候補がいなかったにもかかわらず、どうして山田の名前は呼ばれなかったのか。

スカウトの分析は

 パ・リーグ球団のあるスカウトは、以下のように分析している。

「大学生の野手では、実績でナンバーワンを争う選手です。甲子園や東京六大学でも結果を残しているし、体は大きく、キャプテンシーもある。普通に考えれば、上位候補ですよ。ただ、基本的な運動能力、走る力や投げる力に飛び抜けたところがないんです。大阪桐蔭で鍛えられているから、ハンドリングやスローイングは安定していますが、守備範囲は広くない。セカンドでプロに通用することは難しいと見ていたスカウトが多いと思います。肝心のバッティングも上手く打とうという意識が強すぎるせいか、本来の良さが失われている。プロの投手が投げるスピードが向上していることもあり、最近は、バッティングは、多少粗くとも、バットを強く振れる選手が評価される傾向が強いですね。打撃は、どんな選手でもプロで苦しむことが多いんですけど、(それを補うだけの)守備と走塁に特徴がなければと高く評価しづらいというのがあったと思います」(パ・リーグ球団スカウト)

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