南アフリカ通貨「ランド」で年利55%? 専門家は「元本割れのケースも」と警鐘

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 超低金利のご時世では、メガバンクに100万円を定期預金しても年に20円しか利子がつかないのはご承知の通り。おまけに急激な円安である。そのため外貨建ての資産を持つ人が増えているが、代表格といえるのが外貨定期預金だ。

 金融機関のホームページを開いてみると、「米ドル4%」、「豪ドル3%」、「NZドル9%」など高利率の定期預金が並んでおり、思わず目移りしてしまう。中には驚くような金利を提示している銀行もある。

 例えばオリコンの「顧客満足度調査」で1位の住信SBIネット銀行では、預け入れ期間が1カ月であるものの、南アフリカの通貨「ランド」だと年利ベースで55%(税引後は43.82%)もの高い金利がつくとある。

 南アフリカの政策金利は約6%だが、1年で約1.5倍と聞けば手を出したくなるのも無理はない。

年利55%のはずが、マイナスになるケースも

 実際に「55%」の外貨定期預金を組んでみたらどうなるのか、金融商品販売をしない中立な投資助言業の「RIA JAPAN おカネ学」代表の安東隆司氏に試算してもらった。

「10月2日に1万ランドの外貨定期預金を開始したとします。預け入れレートは1ランド=8.21円となっており、1万ランドでは8万2100円になります」

 金融機関が為替取引のために使う、当日の「仲値」は8.02円。顧客はそれより高い値段でランドを買わされることになる。

「これを年利55%で1カ月預けると元本と税引き後の利息を合わせて約1万366ランド。一見、儲かったように見えますが、為替変動がなかった場合、円に戻すと1ランド=7.83円で8万1165円になります。935円の損失です。年利55%の表示でも、実際には年率約13.65%のマイナスになる。なぜこんなことが起きるのかというと、為替手数料の負担です。預金者は往復手数料(円からランド、ランドから円)で約4.62%の手数料を負担します。年利55%の1カ月分の受け取りは税引後3.65%。受け取り利息よりも支払い費用が多くなり、投資元本割れになってしまうのです」(同)

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