ドラフト“隠し玉”リストに坂本勇人の後釜「加藤豪将」と、「ワケあり右腕」 巨人、阪神「MLB選手逆輸入」の実現性

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加藤はNPB入りに前向き

 10月20日に開催されるNPBのドラフト会議で、米球界から2人の日本人選手の指名があるかどうかが、スカウトら関係者の間で注目を集めている。メッツ傘下のマイナー、3Aシラキュースで今季を終えた加藤豪将内野手(28)と、ダイヤモンドバックス傘下のマイナーでプレー経験がある吉川峻平投手(27)だ。「ともにNPBに来たら即戦力。加藤は内野ならどこでも守れるユーティリティープレーヤー。吉川は188センチの長身で、社会人時代はプロ注目の右腕だった」とは在京セ・リーグ球団スカウトの言葉である。特に加藤は今季、ブルージェイズで苦節10年目にしてメジャーデビュー。日本人大リーグ経験者がドラフト指名を受ければ、2007年に日本ハムが1位指名した多田野数人投手以来、15年ぶりとなる。“隠し球”指名の実現性を探った。【津浦集/スポーツライター】

 8月上旬、日本ハムの新庄剛志監督の加藤に対する発言が他球団のスカウトの間で物議を醸した。

「新庄監督は“ドラフトにかければ面白い。足も速いらしいし、根性もあるみたい”と報道陣に話した。その後に稲葉(篤紀)ゼネラルマネジャーも検討するとした。過去に多田野のほかに、マイケル中村もMLBから逆輸入してきた実績がある球団だから、我々も色めき立った。本当に興味があるのか、ブラフで他球団を攪乱しようとしているのか真意は分からないが、今回のドラフトで加藤がNPB入りに前向きという情報は得ている」(前出のスカウト)

 加藤は両親が日本人で、アメリカで生まれ育った。幼少期からマリナーズのイチローがヒーローで、13年にサンディエゴの高校を卒業後、名門ヤンキースからドラフト2巡目で指名を受けた。選手層が厚いヤンキースではメジャー昇格を果たせなかったものの、マイナーで内野は捕手を除き、全てのポジションに就いた。

「打撃は長打力こそないが、パンチ力はある。オールマイティーな守備以外に機動力も武器。日本ハム以外の球団なら二遊間の強化が喫緊の課題の巨人、阪神の補強ポイントにぴたりと合う選手、3、4位指名に値する力を持っている。マイナー暮らしで鍛えられたハングリー精神があることは言うまでもない。チームで他選手へ好影響を与えることも期待できる」(同スカウト) 
 
 近年、NPB球団は加藤を調査してきたという。ただ、加藤自身がメジャーでのプレーに固執してきたため、NPB球団がドラフト指名を自重してきた経緯がある。

 ところが今年、加藤の心境に変化が生まれているようだ。

「4月にブルージェイズでメジャー初出場を果たし、安打も放った。メジャーに定着はできなかったが、ようやく念願を叶えた。10月に28歳になり、30歳になると見切られるメジャーでの成功は年齢的に厳しくなってきた。来季は日本でラストチャンスに懸ける選択肢を排除しなくなった。それどころか加藤の周辺はNPB球団に対し、しきりに秋波を送っているようだ」(MLBの代理人)

吉川はNPB入り不可なら引退も?

 一方、吉川はNPBへの思いが、実は加藤以上に強い。しかし、“過去の過ち”を理由にNPB入りは一筋縄ではいかない。

 吉川は社会人野球のパナソニック時代の18年8月、ダイヤモンドバックスとマイナー契約を交わしていたことが発覚した。社会人選手で定められているプロ球団との契約に関する規則に抵触したため、社会人野球から事実上の永久追放となった。選手はおろか、指導者としても社会人野球に戻ってこられなくなった中、ほぼ退路を断たれた形で渡米した。

 新型コロナウイルス禍の20年、マイナーリーグは“全休”という苦難に見舞われながらも、昨オフは若手有望株が参加する「アリゾナ秋季リーグ」でオールスター戦選出を果たした。米球界挑戦4年目こそはメジャー昇格と意気込んだ今季だったが、独立リーグでのプレーに終わった。

 吉川は今年限りで現役を続けるかどうか判断する意向を持つ。

「関大では大学日本代表となり、社会人時代からNPBで通用する力はあった。今年指名があれば、たとえ下位であっても拒否することはないはず。ただ、NPB球団は過去に問題を起こした選手の指名を、どうしても敬遠する。同程度の力の投手がいるなら、そちらを優先する力学が働く。“すねの傷”を超越する1位クラスの実力があるなら別なのだが……」(前出のスカウト)

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