岸田首相が長男を秘書官起用で“4代世襲”が決定 識者は「箔付け人事。最悪のタイミング」と分析

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秘書官の重要性

 そして3代目が岸田首相だ。

【3】岸田文雄
 早稲田大学法学部卒。日本長期信用銀行(現・新生銀行)に入行。1987(昭和62)年に退行し、父・文武の秘書となる。1993(平成5)年の衆院選で初当選すると、現在まで10回の連続当選を果たした。

 もし翔太郎氏が広島1区から衆院選に出馬して当選すれば、4代目ということになる。北朝鮮の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)でさえ3代目だ。当然ながらTwitterも批判の投稿で埋め尽くされた。

《自分の子供を引き入れることが、なんで「人事活性化」になるのか意味不明。公私混同縁故主義もはなはだしい》

《こうして国民の気持ちのわからない世襲議員が増殖してきたわけですね》

《人事活性化なら利害関係のない有能な方々を選んで連携強化ができると思う》

 首相を間近で支える首相秘書官の職務がどれほど重要かは、その顔ぶれを振り返れば一目瞭然だ。

 例えば小泉純一郎氏(80)の場合なら、初当選時から秘書を務め「官邸のラスプーチン」との異名を取った飯島勲氏(76)だった。

 安倍晋三氏(1954~2022)なら、経済産業省のエリート官僚だった今井尚哉氏(64)が辣腕を振るった。

“縁故入社”の現実

 岸田首相の場合は、今井氏と同じく経産省のエリート官僚で、退官後は富士フイルムホールディングスの取締役を務めるなど民間での経験も豊富な嶋田隆氏(62)──という具合だ。

「翔太郎さんは本来なら、嶋田さんをサポートし、中央省庁から派遣された事務秘書官と密接な連携を取ることが求められています。とはいえ、31歳の若さです。率直に言って、社会人としての経験も充分だとは言えず、本当に政務秘書官が務まるのか疑問視されています」(同・記者)

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は、「過去にも様々な政権で、こうした“縁故採用”が行われてきました」と言う。

「結局は将来の世襲を見込んだ、箔を付けるための人事です。有権者から厳しく批判されても仕方ありません。ごく稀に『身内しか信用できる人間はいない』と判断して起用した政治家もいましたが、それほどの緊張感のある政治状況は滅多に起こりません」

 翔太郎氏が秘書官のイニシアティブを取り、国政に有益なアドバイスを父親に行う──常識的に考えれば、そんなことが可能だとは考えづらい。周囲の秘書官やエリート官僚にとって、翔太郎氏は文字通り“お客さま”だ。

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