プーチンがロシア軍人に直接指示の異常事態 専門家は「これで正確な情報はさらに入らなくなる」

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準備不足のロシア軍

 もし日本にロシアや中国が攻めてきても、首相と自衛隊の関係は同じはずだという。

「北海道や尖閣諸島に上陸したロシア軍や中国軍の撃退を首相は命じるでしょう。しかし、具体的に『北海道のここで戦え』とか、『この海域にイージス艦を派遣しろ』などと口を出すことはないはずです」(同・軍事ジャーナリスト)

 一方のプーチン大統領は、こうした“セオリー”を完全に無視しているように見える。例えば時事通信は9月26日、「ロシア軍、動員で一層の人的損害も 『最低限』の準備で前線へ―ウクライナ」の記事を配信した。

 この記事で軍事ジャーナリストが呆れ返ったのは、以下の箇所だ。

《英国防省は「西側諸国と異なり、ロシア軍は兵士たちに指定された作戦部隊内での低水準の基本訓練しか施さず、予備役の多くは何年も軍事的な経験を積んでいない」と指摘。さらに「教官不足や性急な動員状況から見て、多くは最低限の準備をしたのみで前線に駆り出される」とし、「ロシアは高い(人的な)損耗率に苦しむだろう」と警告した》

歴史の法則

「この報道が事実なら、事態はかなり深刻です。そもそも軍隊とは、ただ移動するだけでも訓練が必要です。加えて、ロシア軍の目標はウクライナ軍の撃退でしょう。それには砲兵と歩兵、戦車部隊との連携が不可欠であり、訓練の積み重ねが欠かせません。付け焼き刃の兵隊が前線に送られても、かえって部隊は混乱するだけです」(同・軍事ジャーナリスト)

 そして重要なのは、こうした軍の実情をプーチン大統領に報告して諫言する高官は、誰もいないということだ。

「“シビリアン・コントロール”と言いますが、ロシアで本当に暴走しているのは軍部ではなく“シビリアン”であるはずのプーチン大統領です。戦史を紐解くと、最高責任者が口出しをして勝利した軍隊は皆無です。多くのメディアがロシア軍の“指揮系統の混乱”に注目するのは、歴史の法則を考えると、ロシア軍が敗北する可能性が高いからです」(同・軍事ジャーナリスト)

デイリー新潮編集部

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