テレ東がたった「5分間」の国葬特番 地上波は「ベートーベン」、ネットでは「名物記者」で勝負するワケ

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 民放各局が安倍晋三元首相の国葬を特別編成で伝える準備を進めるなか、テレビ東京は式典の真っ最中に映画「ベートーベン」を放送する。いつもながらの独自路線のようだが、注目すべきは完全スルーではないところだ。地上波で僅か5分間の「特番」を放送するほか、ネット配信では”ウラ特番”を用意しているのである。

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実は犬の話

 国葬は27日午後2時から東京・千代田区の日本武道館で営まれる。テレビ番組表で確認できる各局の体制は下記の通りだ。

・NHK  特番 午後1時40分~午後3時30分
・日テレ 夕方のニュース番組「news every.」の拡大版 午後1時45分~午後3時50分 
・テレ朝 情報番組「大下容子ワイド!スクランブル」の拡大版 午前1時45分頃~午後3時48分
・フジ 特番 午後1時45分~午後3時45分
・TBS 「ひるおび」「ゴゴスマ」の帯番組を連動した特番体制

 こんな国葬一色のなかで、地上波で唯一ぶれずに“ほぼ通常体制”で迎えるのがテレビ東京である。

 式典の真っ最中の午後1時45分から午後3時45分まで、「午後のロードショー」で映画「ベートベン」を放送。番組表では〈ペット泥棒から逃げ出したセント・バーナードの子犬が、ニュートン家に迷い込む!?犬嫌いの父を説得して飼うことになるが、再びペット泥棒の魔の手が迫る…!〉と紹介されている。

 ”えっ、犬の話だったの?”という驚きはさておき、注目すべきは直前に予定されている「報道特番」だ。

 映画が始まる直前の午後1時40分から45分までの僅か5分間で、国葬の特番を放送するというのだ。いったい何のために、どのような番組が用意されているのだろうか。

映画は中断できない

「報道機関として国葬を完全に無視できないという判断なのでしょう。たった5分ですから、武道館や献花台などから中継をつなぎ、参列者の反応などを伝える簡素なものだと思いますよ」

 こう語るのはテレビ東京関係者だ。

「ウチだってやらなければならないニュースは特番にします。例えば選挙特番がそうです。今では池上彰さんのおかげで高視聴率が狙えるコンテンツに育ちましたが、池上さんを起用する以前も、細々とではありますがやっていました。もし国葬が国民の多くが望むかたちで行われるならば、採算を度外視してでもちゃんとしたかたちの特番にしていたとは思います」

 国葬反対の声が大きいことがスルーする理由となった可能性がある、との分析だ。

「民放各局は元々やっている帯番組の中で扱うのでそれなりの視聴率が見込めます。ウチはその時間帯に映画しかやっていない。しかも映画というのは短縮したり、中断したりが難しい。数字が見込めないなら映画を潰してまで特番を作るメリットがないのです」

 ただし、”完全スルーするのもどうか”という判断で、5分間に行き着いたのではないかと言うのだ。

「形ばかりと言われるかもしれませんが、ちゃんと報じたという体裁は保てます。それで映画をぎゅっと縮めて5分間を絞り出したのでしょう」

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