「下北住めば?」と言われたけれど… 歌人・伊藤紺が「杉並に住んだから東京を愛せた」と語る理由
「なんで日野?」という質問
『肌に流れる透明な気持ち』『満ちる腕』などの作品集で人気の歌人、伊藤紺さん。限られた言葉の中で繊細な情緒を表現する彼女が、生まれ育った東京の街を離れて気付くこととは?
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東京の日野市に生まれた。小学校にはそこそこ広い田んぼがあって、「じじ山」と呼ばれる山と多摩川の上流にあたる川の間でなんとなく育った。東京がこの国で一番大きな都市と知り100%の無邪気な心で「都会じゃないまちに生まれるってどんな感じだろうね」と尋ねたときの母親の表情の意味がわかるようになったのは、川沿いに建つさびれた中学でスカートの丈を厳しく管理されるようになってからだった。...