いつもの歯切れの良さはどこへ…「COCOA」の大失敗を認めない河野太郎大臣の“本音”

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 新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に導入された接触確認アプリ「COCOA(ココア)」が遂に機能停止になる。2020年半ばにリリースされたものの、立ち上げ時期から不備が指摘されるなど、「ほとんど役に立たなかった」というのが大方の評価だろう。国が新型コロナ感染者の全数把握の見直しを決めたことで、「COCOAはその役割を終えた」というのが表向きの理由だが、IT関係者の間からは「政府のDX(デジタルトランスフォーメーション)のダメさを象徴する事例」という声が上がる。

河野大臣の本音は……

「担当の河野太郎デジタル相もCOCOAはダメだとわかっているのですが、あえて失敗という言葉は避けています」と語るのは、河野氏に近い新聞記者である。

「河野氏は停止の意向を示した会見でも『COCOAに関する反省とそれを次に生かすための知見をまとめる』などと言っていましたが、自身が担当ということもあり批判めいたことは言っていません。しかし本音では、厚労省は何でこんなものを開発させたのかと思っているに違いありません」(同・記者)

 というのも、河野氏とCOCOAには因縁があるからだという。

「河野氏は2021年1月にワクチン担当相になりましたが、これはコロナ対応全般で動きが鈍かった厚労省に痺れを切らした菅義偉首相(当時)による抜擢人事でした。しかも就任早々着手したのが情報システム。当時、すでに稼働が始まっていたCOCOAはトラブル続きで、河野氏は厚労省によるシステム開発に疑問を呈していました。厚労省はワクチンの接種円滑化スシテム(V-SYS)も開発していましたが、医療現場の負担が重く、登録に時間がかかる上にデータの使い勝手も悪いため、河野氏は苛立っていた。そこで、個人情報を記録するワクチン接種記録システム(VRS)を自身の下で開発することを決め、大臣補佐官に指名した小林史明衆院議員に開発を担当させた。つまり、河野氏にとってCOCOAやV-SYSは、DX失敗の典型例なのです」(同・記者)

 VRSは3カ月あまりで完成し、2021年4月12日に正式稼働を開始。本格的なワクチン接種開始とともに、個人情報の登録、接種記録証明書のデジタル発行などのサービスにつながっていった。

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