「初恋の悪魔」「家庭教師のトラコ」 大物脚本家のドラマはなぜ数字が取れなくなったのか

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演出にも口を出す

「結果的にはそういうことになりますが、遊川さんの場合は演出に口を挟むそうです。もともと制作会社のADとしてこの業界に入った人ですから」

 12年下期の朝ドラ「純と愛」(NHK)でヒロインを演じた夏菜は、ぶっちゃけキャラとなって、遊川氏にしごかれたという話はネタになっているほどだ。

「実際、現場では遊川さんに何度もダメ出しをされて泣かされていたそうです。『純と愛』が放送されたのは『家政婦のミタ』の翌年ですから、すでに遊川さんは大御所でした。朝ドラの脚本を引き受けるにあたり、NHKのプロデューサーに『これまでの朝ドラっぽくないもの書くが、後悔しないか』と念を押した上で、『演出家にも役者にも口を出す』と約束させたといいます」

 遊川氏自身、朝ドラ放送当時、NHKのインタビューに、《正直言うと、本当はチャレンジなんかしたくないですよ。もう年だし、それなりに名声もあるし(笑)》と言いつつ、現場に入る理由をこう語っている。

《「ドラマが生まれいるのは、やはり現場。実際に足を運んで、作品の主旨をいちばんわかっている自分が皆に伝えるしかないと思っています」》(ステラ:12年10月19日号)

 結局、「純と愛」の平均視聴率は17・1%と20%を割る結果に終わった。

若い脚本家にチャンス

「その後、19年の『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日、主演:杉咲花)では脚本と演出に名を連ねました。初回視聴率は12・1%で、最後までそれを超えることなく平均視聴率は10・6%に。今年1月期の『となりのチカラ』(テレ朝、主演:松本潤)でも演出に加わり、初回11・5%以外は全て一桁、平均9・2%となりました」

 テレ朝のドラマでは演出に加わるのだろうか。

「他局のドラマで正式に演出となっていなくても、口は出すのでしょう。となれば、プロデューサーは太刀打ちできません。誰もコントロールなどできません」

 若い脚本家は出てこないのだろうか。

「今がチャンスだと思います。やはりフレキシブルにいかないと、大御所はギャラも高いから、仕事がなくなる可能性もあるでしょう。もっとも、若手過ぎると、反対にプロデューサーに脚本をイジられたり、直しの指摘をされまくって潰れてしまう人も一定数いますけど」

 それを乗り越えて大御所となるわけか。

デイリー新潮編集部

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