プロを目指すなら六大学より地方大学が有利? 今年のドラフトでも有望株が続々

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全国各地からドラフト候補が

 夏の甲子園が終わり、プロのスカウト陣は大学生、社会人の候補を最終的に絞り込む時期となった。大学野球といえば、長い歴史を誇る東京六大学、同じ神宮球場を中心にリーグ戦を行っている東都大学、近畿圏の強豪が揃う関西学生野球などの注目度が高いが、プロ野球で年々存在感を増しているのは、地方大学出身の選手である。【西尾典文/野球ライター】

 投手では、大野雄大(佛教大→中日)、大瀬良大地(九州共立大→広島)、伊藤大海(苫小牧駒沢大→日本ハム)などがエース格となり、ルーキーで抑えとして活躍する大勢(関西国際大→巨人)もまた地方リーグ出身である。

 一方、野手では、柳田悠岐(広島経済大→ソフトバンク)、山川穂高(富士大→西武)、菊池涼介(中京学院大→広島)、大山悠輔(白鴎大→阪神)などのリーグを代表する選手の名前が挙がる。東北福祉大、九州共立大などは比較的古くから選手を多く輩出しているが、最近では全国各地から満遍なくドラフト候補が出ている。

 なぜ、大学野球で“地方の時代”が訪れているのか。パ・リーグ球団のスカウトはその要因について、以下のように解説する。

「主な要因は、スカウティングに力を入れる地方大学が増えたことではないですかね。高校野球の現場を回っていても、以前よりも大学の関係者に会う機会は増えています。また、選手の家庭環境も、その要因として、大きいんじゃないでしょうか。トップクラスの特待生ならば、学費を含めた経済的な負担が少ないでしょうけど、地方から東京や関西に出ると、いろいろとお金はかかります。東京六大学や東都大学に所属する伝統校は、意外に特待生の枠は少ないんです。その枠に入れないならば、強い地方大学に進学したほうが、お金がかからないと考える選手や保護者が増えていると思います」

“プロ待ち”を許す大学も

 経済的な側面に加えて、プロを目指す選手にとって、東京六大学や東都野球に所属する大学に比べて、地方大学の条件がいいという。

「プロ志望届を提出し、ドラフト指名がなければ大学へ進学する、いわゆる“プロ待ち”を許す地方大学が多いですね。例えば、多和田真三郎(元西武)なども高校時代から注目されていましたが、プロ志望届を出しても、指名されずに富士大に進学しました。これに加えて、地方大学のリーグは、全体的にレベルが上がっていることは間違いないですし、特色があるチームが増えています。大学野球も多様性の時代になってきました」

 筆者は長年、ドラフト候補を取材してきたが、高校時代は無名だった選手が、地方大学に進学して力をつけるというケースが多い一方で、多和田のようにプロ注目の選手が地方リーグを選ぶケースが確かに増えているという印象がある。コロナ禍で景気低迷が続く状況もあり、こうした流れは当面、続きそうだ。

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