プロを目指すなら六大学より地方大学が有利? 今年のドラフトでも有望株が続々

スポーツ 野球

  • ブックマーク

Advertisement

上位指名が期待される投手たち

 確かに、今年のドラフト候補を見ても、地方大学に有望な選手が揃っている。曽谷龍平(白鴎大)と金村尚真(富士大)は上位指名が期待される投手だ。

 左腕の曽谷は、高校時代に目立った成績は残せなかったが、白鴎大入学後、3年春から主戦投手となると、秋のリーグ戦では最多勝、ベストナイン、最優秀防御率、最多奪三振といったタイトルを総なめする大活躍をみせた。力みなく150キロ近いストレートを投げられ、スライダーの変化が鋭い。シュート系の抜くボールのレベルが向上すれば、プロでも先発投手として期待できるだろう。

 金村は沖縄出身で、中学時代にはU15侍ジャパンに選出された逸材だ。高校時代は甲子園に縁がなかったが、富士大では1年春から主戦となり、数々のタイトルを獲得。東北の大学球界を代表する右腕に成長した。

「(金村は)とにかくコントロールが良くて安定感があり、試合を壊すことがない。変化球も多彩で、特にカットボールはプロを相手にしても、大きな武器になると思います。ストレートの最速は145キロ程度ですが、1回から9回まで球速が変わらない。あと2~3キロ、球速が上がれば、言うことなしですが、今のままでも、ある程度は抑えられると思います」(セ・リーグ球団スカウト)

 秋のリーグ戦では、開幕から3試合連続完封(3戦目は7回コールド)と圧巻のピッチングを見せている金村。安定感では大学球界全体で1、2を争う存在だけに、狙っている球団は多いだろう。

全12球団のスカウトが集結

 最後にもう一人紹介したい投手が、沖縄大のエース、仲地礼亜だ。昨年出場した大学選手権では、初戦で名城大に0対1で敗れたものの、仲地自身は8回を投げて自責点0で、最速149キロをマークし、一躍その名が知られるようになった。

 残念ながら、今年の春は大学選手権出場を逃したものの、代表を決める決勝リーグには、仲地を目当てに、全12球団、30人を超えるスカウトが集結している。

 癖のないフォームから繰り出すストレートは150キロを超え、スライダー、チェンジアップもレベルは高い。前述した金村より、仲地の方が上と評価するスカウトもいたほどだ。沖縄の大学からはドラフト指名となれば史上初の快挙となる。その可能性は極めて高く、上位指名を狙える実力を持っている。

 一方野手で、スカウト陣の注目度が高い選手は、沢井廉(中京大、外野手)と友杉篤輝(天理大、遊撃手)である。沢井は、名門・中京大中京で2年時から中軸を打っていた左の強打者。大学でも順調にスケールアップを果たしている。上位指名も狙える逸材だ。

 友杉は軽快な守備とスピードが魅力のショート。守備範囲の広さに加えて堅実さも備えている。小柄だがミートが上手く、2度出場した大学選手権では3試合合計で、12打数9安打と見事な成績を残している。

「友杉は、守備の動きにスピードがあるし、それでいてボールをこぼさない。年々、守備が堅実になっていると思います。盗塁も多く、ほとんど初球や2球目にスタートを切ることができる。足が速いだけじゃなくて、思い切りがいいですよね。全国大会で大活躍しましたし、大学ジャパンにも選ばれたので、上の方(順位)じゃないと獲れないと思います」(近畿地区担当スカウト)

 10月20日に開催されるドラフト会議。今年は、実力者が揃う地方大学から何人指名されるのか、ぜひ注目して頂きたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。