“リミットまで3カ月” BTSコンサート「工場跡地」からの会場変更に見える焦り

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収容人数は半分になる可能性

 新たに決まったアジアド主競技場は、BTSが2016年に公演したこともある。

〈観客席は5万3769席だ。釜山駅から8km、金海国際空港から10kmほど離れた都心にあり、アクセスが良い〉(「国際新聞」9月4日付)

〈アジアド主競技場は5万3769席の座席しかないが、スタンディング席までオープンする場合、最大収容人数は約8万人になる。ただ、競技場の出入り口が72カ所に分散していて、様々な交通便を利用することが出来るため、大勢の観客が押し寄せても比較的スムーズに開催することができる〉(『韓国日報』9月6日付)

 収容人数がどの程度になるかは正確には分かっていないものの、当初の工場跡地の会場では10万人予定だったものが半分程度に減ったという報道もある。

「もともとチケットの倍率は相当高かったはずですが、会場変更によって“10万人コンサート”ではなくなったことで、BTSの姿を直接見られる可能性は下がったと思います。それでも安全性に問題がある会場で はなくなったことで、ファンの多くは安堵しています」(先のファン)

 これで会場の問題は 解消されたわけだが、別の問題が起きている。

 BTSのコンサート開催が発表された当初から、釜山市全域にわたって宿泊費の高騰の事例が広がり問題になっていた。当初の会場は、アクセスが非常に悪かったこともあり、限られた近隣の宿泊施設に予約が殺到した。これを商機とばかりに普段の10倍程度に価格が吊り上げられ、簡易なモーテルでも1泊100万ウォン(約10万円)もの値がつけられたのだ。

 新会場のアジアド主競技場は、金海空港、釜山駅、ノポバスターミナルからアクセスが良く、宿泊をしない観客は増えたが、不当な価格が付けられている事態に変わりはない。

〈来月14、15日にアジアド主競技場付近の宿泊施設を検索した結果、1泊100万ウォン(10万円)を超える宿泊費を示すところもある。前の公演会場付近の宿泊業者がしていたやり方をそのまま受け継いだ形だ〉(「韓国日報」9月4日付)

 ファンは韓国消費者院などへの通報を呼び掛けている。

切り離せない兵役

 混乱続きの無料コンサートだが、どうしても失敗させてはならない事情がBTSにも釜山市にもあった。BTSの最年長のメンバーであるJINの30歳の誕生日が12月に迫り、入隊の期限が重くのしかかっているのだ。

〈パク・ヒョンジュン釜山市長は「2030釜山万博」誘致のためにグローバル広報大使であるBTSの代替服務制度の適用を大統領室に提案したことも、BTSやHYBEにとって大きな負担として働いたはずだ〉(「韓国日報」9月6日付)

 代替服務制度とは、軍に服務する代わりに専門研究要員、産業技能要員、乗船勤務予備役などとして指定の企業や分野で公益のために勤務する制度である。

 来年11月の博覧会国際事務局の総会で行われる加盟国投票まで、1年余り。世論は万博に概ね賛成というから、来月のBTSのコンサートが誘致を勢いづけることができるか。

デイリー新潮編集部

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