「リブゴルフ」出場リストから日本人選手が消えたナゾ PGAツアーが「圧力」は本当か

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 リブゴルフに出場した日本ツアーの選手が、来たる10月に日本で開催されるZOZOチャンピオンシップには「出場できない」ことが告げられた。これに対して、リブゴルフへの敵対心をメラメラ燃やしているPGAツアーが、突如、怒りや焦りの矛先を日本人選手や日本ツアーへ向けてきたかのように捉えた方々がいるのかもしれない。だが、それは大いなる勘違いである。これはPGAツアーによる日本への「圧力」でも「急襲」でもない。それどころか、日本ツアーの選手たちの戦う場をこれ以上、狭めないよう、最大限の配慮をしたPGAツアーによる「温情」だと私は思う。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

日本人選手が出場リストから消える

 リブゴルフに参加した谷原秀人、香妻陣一朗、木下稜介、稲森佑貴の4名の選手の名前が、米マサチューセッツ州ボストン郊外で開催されるリブゴルフ第4戦(9月2日~4日)の出場者リストから消えたことが米ゴルフ界で話題になったのは、開幕直前の8月31日のことだった。

 この大会から新規にリブゴルフに移籍したキャメロン・スミスら6名と入れ替わりに「オール・ジャパンの4名と南ア選手などさらに4名が押し出された」と米メディアは報じ、「彼らはリブゴルフには、おそらく永遠に戻ってこない」と記した米国人記者もいた。

 この8名が、どんな経緯で第4戦の出場者から「外されたのか」、あるいは「外れたのか」は、リブゴルフ側からは一切公表されていない。

 だが、日本人4名に関しては、「PGAツアーがJGTO(日本ゴルフツアー機構)に返信したレターの内容が大きく影響したのでは?」と米スポーツイラストレイテッド誌は報じており、同誌はJGTOが8月29日付けでツアーメンバーに送った英文レターと、そこに付されたPGAツアーからの返信レターの引用を公表した。

 そこには、PGAツアーが共催するZOZOチャンピオンシップの今年の大会に当該選手の出場が認められないことが記されていた。

JGTOはPGAツアーに交渉済み

 しかし、その経緯を紐解くと、リブゴルフに参加した日本ツアー選手たちがZOZOチャンピオンシップに出場できないことは、ここへ来て突然決まったわけではないということが分かる。

 そもそも、「非公式ツアーであるリブゴルフの大会に参加した選手」に対して、その後のPGAツアーの大会や他ツアーとの共催大会、コーンフェリーツアーの大会、予選会、プレジデンツカップなどPGAツアーが催すあらゆるイベントへの出場を「禁止する」「許可しない」ことは、リブゴルフが創始された今年6月以前から、PGAツアーのジェイ・モナハン会長の口から何度も強調されていた。

 その上で、今回、あらためて確認したところ、JGTOは以前から何度もPGAツアーに問い合わせ、最善策を提案・打診するなどの交渉を重ねていたことがわかった。リブゴルフに参加していることがPGAツアーとJGTOの共催大会であるZOZOチャンピオンシップへの出場資格に影響する可能性を感じ、対応を模索していたのだ。

 その結果、ZOZOチャンピオンシップ開催が迫りつつある今、ついにPGAツアーからJGTOへ正式に返信が届き、その内容を通達するレターをJGTOは8月29日付けでツアーメンバーに送ったという流れだ。

 8月末にPGAツアーからJGTOへ送られた返信にあった「非公式な大会(現状ではリブゴルフのみを指す)に参加したJGTOメンバーは、2021-2022年シーズン内のすべてのPGAツアー共催大会への出場資格を有しない。ZOZOチャンピオンシップはその1つだ」という下りは、言い換えれば、リブゴルフが創始される以前からわかっていたことを確認のためにPGAツアーがあらためて記したようなものである。

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