名古屋高速バス事故、運行会社の“驚愕の実態” 5年で2回も違反行為、危険運転が頻発

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「この目で目撃」

「同業他社の方々から、車検を通していないのは基本中の基本ができていない証(あかし)で、運行管理がなっていないという声を耳にしました」

 そう振り返るのは小牧市議の山田美代子氏だ。

「あおい交通が運行を委託されている市の巡回バスでも、私はこの目で運転手さんの運転が荒いのを目撃しています。信号無視で交差点に入ったり、バスがすごいスピードでコーナーを曲がっていく。お隣の犬山市でも地域バスを運行しているのですが、2回事故を起こしたと聞きました。私も今年になって市の担当者に懸念を伝えたのですが……」

 かような危険運転には住民からも告発が相次ぎ、地元の小牧市議会でも安全性を問う声が上がったそうだ。

現在もバスは運行

 実際、議会で質問に立った小牧市議の小沢国大(こざわくにひろ)氏は、

「近所に住む高齢者が巡回バスをよく使うのですが、乗り込んで完全に手すりをつかむ前に発車され転倒、骨折したという話を聞いたり、バス停に到着時刻ギリギリで突っ込んできて、本当に怖い思いをしたとの話を何件か聞いたので、議会で質しました。バスダイヤに無理があり夕方は道が混むので定時運行が難しい。それで危険運転をしてしまうのではないでしょうか」

 こうした環境が乗務員に無理を強いてはいなかったのか。市も運行会社に是正を求めたそうだが、結果として事故は起きてしまった。

 改めて、当の「あおい交通」に尋ねたところ、

「運転手が健康な状態であればという想定で答えてしまったもので、事故の責任は会社にあることは当然と考えております」

 今日も変わらず、同社は事故路線を含めたバスの運行を担っている。不安なのは地元民だけではなかろう。

週刊新潮 2022年9月8日号掲載

ワイド特集「危険地帯」より

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