フランスで「ONE PIECE」上映中に観客が大暴れ… お国柄?日本アニメの変わった“観られ方”

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 夏休みはアニメ映画がよく話題になります。フランスでも例外ではありません。

 日本での公開から4日遅れた8月10日、フランスで「ONE PIECE FILM RED」が公開されました。初日には26万枚のチケットが売れ、最初の1週間で動員数57万人を突破。日本アニメ映画として初日動員人数等の最高記録を更新しました。フランスの人口が日本の約半数である6,739万人であることを考えると、いかに驚異的な数字かお分かりになるかと思います。

 ところが、そんな輝かしい記録に水を差すような事件がフランスのメディアやSNSで話題になっているのです。【ヴェイサードゆうこ/在仏ジャーナリスト】

上映中にファンが暴れだして映画館がカオスに

 騒動の舞台は、8月7日に試写会が行われたマルセイユでした。あまりに盛り上がった観客が上映中に口笛を拭いたりポップコーンを投げたり、上着を脱いで踊ったりとヒートアップ。数十人が奇声を上げながらスクリーンの前に飛び出し、壇上にあがって走り回るなど、とても映画を鑑賞できる状態ではなくなったのです。

 その様子を撮影した動画が、TikTokやTwitterなどで拡散され、約629万回再生されています(8月30日時点)。

 また、同じ日にボルドーで行われた試写会では、反対に映画に不満を抱いた観客が火災報知器を鳴らし、ONE PIECEのみならず、他の映画まで上映中止に追い込まれるという事件を起こしました。

 これらの非常識な行為はメディアにも取り上げられ、

「ファン待望のイベントが台無しにされた」

「人生の中で最悪の映画体験」

「映画を観たかったのに腹立たしい」

 といった声がネットにあふれています。

「日本アニメ映画」が槍玉に…

 じつはこうした騒動は、過去にも日本アニメ映画の上映でたびたび起きていました。

 今年3月13日にパリで行われた「劇場版 呪術廻戦 0」の試写会でも、一部の観客が叫びながら席を立ち服を脱いで踊ったり、歓声をあげたり、ということがあり、やはり動画が拡散。「悲惨な試写会、ただ叫んで混乱を起こすために来た客」とツイートされていました。

 この時は、試写会の会場となった老舗劇場Le Grand Rexがそのツイートに返信する形で、

〈残念ながら、日本アニメ映画の観客の一部の人たちは、映画への喜びを共有することと、めちゃくちゃな行為の違いを理解していない〉

 とコメントを出しました。

 ほかにも「僕のヒーローアカデミア」、「鬼滅の刃」、「ドラゴンボール」などの上映時に一部の観客が騒ぎ、問題になっていました。日本アニメの上映の度にこのような騒動が起こっているため、日本アニメのファンにこのような行動をする人たちがいると認識されてしまっているようです。

「日本アニメのファンは映画をサッカー観戦と混同している」

「偽物のONE PIECEファンのせいで映画のイメージまで悪くなる」

「こんな騒動を起こすやつらをファンとは言わない」

「動物園に来たような状態」

「小さな子どももこのような騒ぎを見て驚いていた」

 といった嘆きや批判がメディアやSNSで散見されるほか、

「これで日本アニメのイメージか傷つくのが悲しい」

「こういう騒動のせいで日本アニメ映画上映されなくなるかもしれない」

 と心配するファンも多くいます。もっとも、一部では

「うるさいけど盛り上がって楽しかった」という参加者のコメントや、「盛り上がるのはいいんじゃない?」と肯定的な意見も。そのほか、

「マルセイユっていうのはそういうところだからね」

「マルセイユだったら、それが普通なのでは」

 と、南仏マルセイユの人たちの気質を考えれば納得と問題視すらしてない人たちも多いのです。

「劇場が何の対策もしていないのも悪い」

「こういうことがあるとわかっているのだから、映画をじっくり楽しみたい人とお祭り気分を味わいたい人とで、最初から会場を2つに分ければ良い」

 なんて意見もありました。

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