五輪汚職「高橋治之」元理事の「マイバッハ」はリース契約 過去に国税局が“利権”の調査も

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東京国税局が税務調査

 今回の事件を巡っては、読売新聞が7月20日朝刊1面で疑惑をスクープしたことを発端に、連日、高橋容疑者宅にマスコミが殺到。高橋容疑者の一挙一動に注目が集まり、連日、ワイドショーではマイバッハに乗って自宅を出る様子が報じられた。

 高橋容疑者は、AOKI側とはコモンズがコンサル契約を結び、「適正なコンサル料で賄賂にあたらない」と受託収賄容疑を逮捕前から一貫して否認していたが、7月26日以降、東京地検特捜部が強制捜査に着手。高橋容疑者の自宅や、スポンサー募集業務を担っていた電通本社、AOKI本社など各関係先の家宅捜索も行い、8月17日に高橋容疑者を受託収賄容疑で、AOKI側の3人を贈賄容疑で逮捕した。

 高橋容疑者を巡り強制捜査にまで発展したのは今回が初めてだが、実は東京国税局が2017年頃から、コモンズの税務調査を実施していたことはほとんど知られていない。高橋容疑者が五輪の組織委の理事に就任したのは14年6月で、その前には招致委員会のスペシャルアドバイザーとして国際オリンピック委員会(IOC)の委員らへのロビー活動に励み、東京への五輪招致にも一役買った。

 ある国税関係者は、

「高橋容疑者が招致活動時、コモンズのコンサル料収入が年間20億円近くにまで急激に伸びたことで、東京国税局の課税2部のリョウチョウ(資料調査課)が税務調査に入った。脱税を捜査するマルサとは異なるが、リョウチョウには緻密な調査能力があり、国税としては『五輪利権』に絡む何かしらの不正を探る狙いもあった」

 と明かす。だが、この一連の税務調査では、明確な申告漏れや悪質な所得隠しなどは見つからなかったとみられ、税務調査に関する報道は一切なかった。

脇が甘すぎる

 ちなみに、AOKI側と高橋のコモンズがコンサルタント契約を結んだのは17年9月で、今回の逮捕容疑で「賄賂」と判断されている毎月100万円のコンサル料がコモンズに支払われ始めたのは翌10月からだ。東京国税局の税務調査は進められていた、まさに、この前後の時期から、高橋容疑者はAOKIから資金提供を受け始めたということになる。

 ある国税OB税理士は、

「普通は税務調査に入られれば、色々な取り引きに慎重になるはずだが、自身がみなし公務員なのにもかかわらず、大会スポンサー企業と堂々とコンサル契約を結ぶあたりからして、脇が甘すぎる」

 と指摘している。

 国税の税務調査では明らかにならなかった五輪利権の闇に、強制捜査のメスを入れた東京地検特捜部。逮捕したからには、自らの手で高橋容疑者らを起訴していくのは間違いないだろうが、今後の捜査によってどこまでその闇が暴かれていくのか。捜査の手は政治家らにも伸びるとも言われており、「最強の捜査機関」とも称される特捜部の気概が試されている。

デイリー新潮編集部

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